「…ん、ぁ…んんっ」
艶めかしく俺を見下ろした尋未は、繋がった銀糸を見て頬を染めた。
あの後、学校を出てからすぐにマンションに向かい、駐車場に車を停めた。停めたら、我慢出来ない。
尋未を助手席からうまく運転席の方まで抱き上げ、俺の上に乗せた。
シートを倒して、尋未がキスしやすいような空間を作った。
「……尋未」
「せん、せ…、なんか…、強引…」
「怒ってるからな」
「…え、ど、どうしてぇ…んっ」
泣きそうになってる尋未を見ると、どろどろになってる嫉妬心で彼女を傷つけたくなった。
俺がどんなに我慢して、どんなに彼女を欲していたのか、彼女は知っているのだろうか？
悪いけど離さないよ。
ここで離して、自分勝手に「帰れ」と言って着拒されるぐらいなら、俺は彼女を傷つけてでも自分のものにしてしまうかもしれない。
「や、ぁ…、先生…」
ちゅ。
と、白い首筋に唇を当てる。
強く吸い立てると、彼女の体が悦んだ。
今すぐにでも彼女の中で、すべてを出したかったが、嫉妬の渦に取り込まれた「理性」が少しずつ帰ってきた。
「……せんせ…？」
「尋未が俺を焦らしたんだから、俺も尋未を焦らさせてもらう」
そう言って、車から出て自室に。
場所を変えて、時折唇を合わせてやると体がぴくん、と弓なった。
二週間も俺の愛撫を受けてない尋未の体は、急に攻め立てられて相当痺れていると思う。
濡れた瞳は俺を誘うし、口からは甘い吐息が零れ、体に触ると悦んだ。
「───ん、ん…ぅ…ふぁ」
部屋に入り、鍵を閉め、玄関先でキス。
それから唇を離して中へ入れる。
「……せんせぇ…」
「ん？」
「私、なんかおかしいよぉ…」
「うん。そうさせたからな」
「…えぇええ？」
完全に、思考回路停止してるな。
ソファに座らせ、隣りに腰を降ろすと、すぐに体を寄せてきた。
「……どうした？」
「せんせ、なに怒ってるの…？」
「英語の先生に、抱きしめられてただろ？」
「…！？」
ほんの少し、顔色が変わった。
どうやら覚えてるようだな。
「…あ、あの、でもそれは…」
呂律の回ってない口でなにか言おうとしているが、弁解もなにも出来ずに俺が「聞きたくない」と言い放ってしまった。
途端に止まる彼女の口。
「嫌な気分、だった」
「……ご、ごめんなさい…。わ、私がなにもないところで転けるから…」
「この間の涼のこともそう」
「…りょう、さん…？」
「尋未は、隙がありすぎ。可愛すぎ」
「えええ！？」
「本当に悪いと思ってるなら、誠意を見せてもらいたいな」
「……せいい…？」
「そう。…尋未はなにをしてくれる…？」
…あー、少し落ち着いてきたのか、今、とても意地悪な顔してるな、俺。
でも、目の前で困ってる尋未を見るのは楽しい。
キスをして、彼女に触れて、今まで溜まって爆発しそうになってた気持ちを落ち着かせたから出来る「尋未いじめ」。
困りながら、まだ快感の波が続いている尋未の耳に囁いてやった。
「…ひろみ」
小さく震えた体。
抱きしめたくなるのを一心に堪え、俺は尋未の動きを待っていた。
尋未は「あー」とか「うー」とか言いながら、俺の瞳を覗き込んだり、にっこり笑ってみたり、機嫌を伺うようにしてるが、無理。
俺だってだてに鉄面皮と呼ばれていない。
顔色一つ変えずに、彼女がどんなことをしてくれるか眺めていた。
「……ちぅ」
すると、なにを思ったのか、俺の手を口元に持っていった。
そして、───指先に、キスを落とす。
「っ！」
指先、指の腹にしっかり唇を当たるように、吸い付きながらキスをした。
一本、一本丁寧にキスをする尋未の姿は妖艶で、ときおり流す目線に喉が鳴った。
「ん、…ふぅ…」
キスだけじゃ物足りなくなったのか、今度は指を舐め始めた。
ぺろぺろ、ぴちゃぴちゃ、指先を彼女の柔らかな舌と唇を味わわれる感覚は、今までにない感触だった。
一生懸命口の中で指を出し入れしたりする姿が、イケナイコトをさせてるようで「尋未いじめ」を楽しんでいる俺をすぐに欲望で満たしてしまった。
「………ん、…先生…？」
小首を傾げ、自分の唾液で濡れた唇で「先生」と呼ぶ。
もうそろそろ、限界だった。
「？」
なにをされるのか解ってない彼女を抱きしめるように、腕の中に閉じこめると、器用に制服のスカートに手を差し入れ、ショーツの合間を縫って指を突き立てた。
「んんんぅっ！！！」
ぐちょぐちょにぬかるんだそこは、尋未も同じぐらい自分を欲していたのかとこちらが思えるほど濡れそぼっていて、蜜壺にもっと指を絡ませた。
「あ、あ、…ひゃ、ぅ、ん…っ」
しがみつき、俺に指を突き立て、いやらしく腰をひくつかせた。
「……いやらしいな」
「んんっ」
指を引き抜いて、スカートを脱がせやすいようにホックとチャックを降ろし、彼女を抱き上げるとショーツとスカートだけがソファに置き去りになる。
抱えたまま、何度自分の腕に彼女を閉じこめて眠りたいと思ったか、一人で寝たベットに横たえさせ、リボンをとった。
「……せんせ…」
「そうやって見上げると我慢が効かなくなるぞ？」
「………ん。いーよ…？」
そうしてこの子はなんでも許してしまうんだ。
俺はたかだか、転びそうになったのを抱き留めただけでこんなに嫉妬に狂っているのに、彼女は俺の様子がおかしかったことを責めない。
その変わり、こうしてなにかも許したような笑顔を向けるんだ。
「……尋未は狡いよ…」
「ずる、い…？」
「ああ、狡い」
そんな彼女に何度となく助けられたことだろう。
相当狭い俺の心を、受け止めてくれる尋未が愛しくてしょうがなかった。
「…んぁっ…、んー…」
体を弓なりにさせながら、全部脱がされた尋未が啼く。
立ち上がった頂を口に含まれ、思い切り舐め回し、二週間振りに味わう体を丁寧に感じていった。
「…ん、ん、ん…ぁ」
「………尋未」
お互いに限界が近付いてきた。
もう駄目だ。
今すぐにでも彼女の中に入れたい。
「……尋未、入るよ…」
手早く避妊具を装着すると、彼女の中に入っていった。
腰を突き進めると解るが、彼女の中は狭い。
彼女が俺を責めない変わりに、彼女の体が俺を締め付けているようだった。
「やばっ…」
今すぐにでも達してしまいそうだ。
自分だってそれ相応に我慢してきているわけだし、しかも今抱いているのは制服の彼女だ。
我慢なんて効くわけがない。
「…っくぅ…！」
注挿を繰り返す。
狭い中でもしっかりと俺を絡め取って離さない尋未が愛しくてしょうがなかった。
ようやっと手に入れた愛しい人。
俺も尋未も気持ちの高ぶりと共に、頂点が近付きつつあった。
「…あ、あ、…そ、こぉ…、んんぅっ……あ、…ん、あ、だ、めぇ…！」
「ん？ なに、が…？」
「あ、あ、あ、あ、…うぅ…、あ、も、だめぇっ」
しっかり俺にしがみついた後、彼女が果て、その結果締め付けてくる彼女に快感が増す。
ひくひく、と幾度か締め付けられ、注挿で感じる快感に俺も果ててしまった。
「…く、はぁ……」
呼吸を整えながら尋未にキスを落とす。
彼女もまた、荒い呼吸を整えながらもう一度キスを求めてきた。
「……雅都…」
うっとりと、俺を眺めながら俺の名前を呼ぶ。
その姿は艶やかで、さっき果てたばかりなのにまた元気になってしまうぐらいの効力はあった。
「……………幸せ…」
とりあえず彼女を抱きしめながら、衝動を抑える。
しかし、そんなことを俺の体が許してくれるはずがなく、嬉しそうに頬を寄せてきた尋未が可愛くて反応してしまう。
あー、駄目だこれは。
「…私も」
耳元から聞こえてきた尋未の声に、刺激された。
ごめん、尋未。
そう思いながら何度抱いたことだろう？
次の日、俺は昼過ぎに起きて、彼女の寝顔を見ながらどうやって襲ってやろうか思案していた。
