・・・・Pi Pi Pi
意識のずっと向こう側で、目覚まし時計の音が聞こえる。
ん〜。
瞼が重い。
体が動かない。
・・・Pi Pi Pi・・・・バシンッ!!
!?
「うー。・・・休みの日にまで目覚ましかけるなっつーの・・・」
その声で、少しだけ瞼を上げる。
目の前には、あたしがすっぽりと隠れてしまいそうな、広くて逞しい胸。
実際に、その広い胸のなかに、あたしはいた。
ついつい、もっと体を寄せてしまう。
眠気のせいか、あたしを抱き寄せて髪を撫でる動きも、とてもゆっくりな、彼。
目を閉じたまま、あたしは答えた。
「ごめーん・・・ついクセで・・・」
「ん・・・つか、昨夜すげー頑張っちゃったから、ねみーの。俺」
その言葉で、一気に昨夜の記憶が蘇る。
顔だけ熱が上昇してくるのを感じる。
「ふん・・・えっち」
こっそり呟いたつもりだったのに。
背中をすっと撫でられて。
「うひゃあっ」
首筋に、唇の感触を感じる。
「おい・・・えっちなのはどっちだよ。昨夜はあんなに可愛かったのに」
首に息がかかり、それだけで体がびくん、と反応してしまう。
「もうっ・・・そんなの知らないもんっ」
相変わらず、彼の腕は背中から腿の間をゆっくりと行ったり来たりしている。
・・・・あぁ。
そういえば、何も着てないのね、あたし達。
そのまま寝ちゃったのね。
「なぁ。これ、見てみろよ」
そう言って、彼は少しだけ体を離し、自分の鎖骨の辺りを指差す。
寝起きのボーっとした意識のなかで、彼の指差すところを見つめた。
うっすらと赤く残る跡。
・・・・!!
それが何かよく分かってるあたしは、少し膨れるようにして彼を見上げた。
そんな反応をするのを分かっていたように、彼はにやり、とした表情を返してきた。
「・・・俺が愛されてる証拠です。俺がおまえのものだっていう証拠です」
「わかったっ。わかってばぁっ」
恥ずかしげもなく、さらりと言ってのける所が。
・・・・好きなんだけどね。
彼にも、あたしの顔が真っ赤だっていうのはもうバレてるだろうな。
まだ、にやにやとした笑いを止めない彼は、さらに言葉を続ける。
「ま・・・数では俺の勝ちだけどな」
ん?数?
・・・・・・まさかっ!!
慌てて自分のからだを見つめる。
胸の少し上から、おなか、腿の・・・内側まで。
所々に、彼が咲かせた赤い花が、しっかりと残っている。
この調子だと、きっと背中にも残っているのだろうと予測する。
こら・・・と軽く彼を睨む。
「・・・おまえを愛してる証拠です。おまえが俺のものだっていう証拠です」
あたしの視線を気にもせず。
さっき聞いたような言葉を口にした。
枕に半分顔を埋め、あたしを見つめるその表情は。
今まで向けられていたにやにやした笑いではなく。
あたしの大好きな、ふわりとした、優しい表情だった。
「なぁ・・・もう少しこうしてベッドに入っててもいいだろ?」
わかってるよ。
キスマークを残されるのだって、嫌じゃないの。
彼のものって感じがして、安心できるから。
少し、拗ねるマネをしてみただけ。
朝からその顔、見れたから。
いうこと聞いてあげましょう。
もう一度、彼の胸のなかへ。
今度はしっかりと抱きしめてくれた。
あたしもそっと、彼の背中に腕を回す。
「・・・休みの日に、好きなオンナとこうしてるのって、サイコー」
その言葉を最後に、再び眠りへと落ちていった。
「・・・愛してるからね・・・」
すごくすごく、小さな声で。
でも、間違いないあたしの本心を呟いて。
あたしもゆっくりと、瞼を閉じた。
りんさんから頂いた、65000Hit記念の小説です!
んもー、ねぇー!いいのよ、この二人っ。
雰囲気がひしひしと伝わってきて、お互いに必要としていて…しかも、らぶらぶじゃないですか!!
いいよなぁー。
うちの二人の朝の形をやったら、こうはいかないです。
祐恭が手を出すでしょうな。
…あぁもぉ、なんで常に欲情してる主人公なんだろう…(つД`)
反省しつつ。…って、無理か(笑
この度は、ステキなお話誠にありがとうございました!!
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