First
すげー悩む。
他の人って、どんな風に切り出すんだろうか。
今までに無いってくらいの緊張の中、彼女に告白したのが3ヶ月前。
「寒いから」とか適当なコト言って手を繋ぐ事に成功したのが2ヶ月前。
……そろそろ、キスしたいって思う。
でもなかなかタイミングが掴めないダメな俺。
始めは本当に一緒に居るだけで満足で。
一緒に登下校したり、出掛けたり。
過ごす時間が増えれば増えるほど、告白する前よりどんどん好きになって。
手を繋ぐ事もすごく自然にできるようになってきたここ最近、俺は彼女にもっと触れたいと思うようになってきて
話をしているときも柔らかそうな唇がヤケに気になる。
なんか、ヤバい奴みたいじゃん俺……。
「どうしたの?」
黙り込んだ俺に不思議そうに彼女が覗き込んでくる。
邪気のない表情で見つめられると、さっきまで考えていた事が無性に恥ずかしくて。
耐え切れなくて少し視線を外すけど、その時にすら視界の端に入る彼女の唇。
それだけが目的じゃないけど、好きな人に触れたいって思うのは当然の事…だよ、な。
彼女はどう思ってるのかな。
こんな事考えてるの、俺だけなのかな。
そう考えてしまうと、少し不安になる。
思わず繋いだ手に力が入ってしまって、それに気付いた彼女がまた俺の方へ視線を寄越す。
「ねぇ…ホントにどうしたの?何か、あった?」
心配そうな顔。
「いや、そうじゃないけど…」
「けど?」
「え?あ…けど、って言うか…」
「…あたしと一緒じゃ、つまんない?」
―――…え?
思ってもみない言葉にドキリとする。
「目も合わせてくれないし、何だか上の空って感じだし……」
眉尻が下がって泣きそうな表情の彼女。
「あの…違う!全然そういうんじゃないって」
泣かせるつもりなんて無いのに。
自分ひとりでぐるぐる考えて、でもそれは、そんな顔をさせる為なんかじゃないのに。
なんで上手く出来ないんだろう。
何でもっと、気の効いた事も言ってやれないんだろう。
お互い、何も言わないまま歩いて。
あっという間に、彼女の家の前まで来てしまった。
折角、彼女の隣に居ることが出来たのに。
こんな状態で、彼女にこんな表情をさせたまま別れるなんて、嫌だ。
「あ…じゃあ、また明日、ね」
ぎこちなく呟き、繋がれた手がゆっくり解かれていく。
「待って」
離れた手をすぐに掴んだ。
言葉もなく彼女を抱きしめると腕の中の彼女は驚きの声を漏らした。
「つまらないとか思う訳ないよ。ごめん、何か上手く言えなくて。ずっと、キスしたいなぁとか思ってた…って言ったら、引く?」
結局、俺にはこうして思ったことをそのまま言うしか方法が無くて。
「…それで、ずっと上の空だったの?」
「………うん」
素直に頷くしか方法を知らなかった。
瞬間、制服の胸の辺りを引っ張られる感覚と唇に柔らかい感触。
瞬きをする間の一瞬の出来事。
「……あんまり心配させないでよ?」
「…………う、ん」
「じゃ、また明日、ね」
くるりと背を向けた彼女の表情は見えなくて、もう一度引き止めたいけど身体が言うことを聞いてくれない。
「あの…っ。また明日、一緒に帰ろう、な」
やっと出た言葉に振り向いてくれた彼女が照れたように頷いた。
家に入るのを見届けて、今度は自分の家へと足を進めた。
ほんの一瞬だったけど、確かに残る感触。
最後に笑った彼女の表情。
不意打ちのキス。
嬉しい気持ちとやっぱり大好きだって気持ちが胸の辺りでザワザワと内側から擽ってくる。
思わず叫んでしまいたかったけど住宅街でそんな事できる訳もなく。
この気分をどうしていいか分からず、家までの道を走り出した。
走っても走っても、ザワザワは消えない。
ほんの触れるだけのキスで、好きだって気持ちがこんなにも大きくなるなんて知らなかった。
息を切らしながら、ひたすら走る。
そうでもしないと、気持ちがもうヤバいくらいデカくなって、叫んでしまいそうだったから。
りんさんから頂いた、相互リンク記念の小説です!
っていうか、いいんですか!?( ̄□ ̄;)
いや、良くないはず。
だって私、りんさんに色々貰いっぱなしなんですもの・・・(汗
なかでもやっぱり、史斗先生のイラストを描かせて頂いたのが一番大きいかと。
ほかにも、沢山の小説頂いてしまっていて・・・。
うわーん!!何もお返しできてなくて本当にごめんなさい><;
それにしても、このお話はすごく可愛くていい!!!!
と、読んだ瞬間「うわ!すげーいい!!」と叫びました。
だって、女の子からですよ?
不意打ちキス!!
ぎゃー!めろきゅん!!(何
しかもしかも、彼のどきどきしてる所とか、
帰り際の「すげー嬉しい!!」って叫びたい位嬉しそうなところとか・・・。
んもう、とってもらぶりーです(*´▽`*)
本当にありがとうございました!!!
くふふ。と思わずにやける甘い話じゃ(笑
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