「じゃねー、羽織、また明日。」
「うん、ばいばい。絵里。」
5分前に絵里と別れて歩いていたら
怪しい雲がこっちに向かってくる。
やだなぁ。
なんて思っていたら
いきなり大粒の雨が降ってきた。
周りに雨宿りできるような場所が無く
あっという間に私はずぶ濡れになってしまった。
(制服、ぬれちゃったな・・・。)
と思いながら雨の中歩いていると。
にゃー。
何処からか声が聞こえる。
「?」
どこから声がするんだろう。
辺りを見回してみたんだけど
それらしい動物が居ない。
じっと耳を澄ましてみる。
するとまた声がした。
にゃー。
がさがさ。
音のするほうを見ると
サツキの植え込みの影から
子猫が一匹出てきた。
ずぶ濡れで震えている。
「こんなところにいたんだ・・・。」
植え込みに近寄って
そっと子猫に手を伸ばすと子猫はあっさりと
私の手の中に包まれた。
「猫さんも1人?」
子猫に話しかけると小さい声で。
にゃー。
それでもずぶ濡れでまだ震えている。
そっと暖めるように撫でてやりながら
「私と同じずぶ濡れだね。」
と言うと。
にゃー。
なんだか子猫と私と同じずぶ濡れで。
ぽつんと一人ぼっちになった気がして。
切なくなって。
なぜかわからないけれど。
とても。
とても先生に逢いたくなってきた。
「先生に逢いたいな・・・。」
ぽつりとそう言うと。
「じゃぁ逢わせてあげるよ。」
ほぇ?
ドコからか声がする。
顔を上げるとスッと頭上が翳った。
雨が私の周りだけ止んでいて。
傘が私の後ろから差されてる様に見える。
振り向くとそこには。
逢いたいと思っていた人。
そう、先生が居た。
私に傘を差して立っている先生が目の前に居た。
「せんせ・・・。」
「どうしたの、羽織ちゃん。ずぶ濡れになっちゃって。」
先生は優しく微笑むと私の頭を撫でる。
「いきなり雨に降られちゃって・・・。
気がついたらずぶ濡れになっちゃいました。」
先生の温かい手のひらで撫でられながらそう答えると
「こんな状態じゃ家に帰れないだろ?俺の家においで?」
「いいんですか?でも・・・。」
自分を見ると。
制服はもちろん濡れてて。
髪も雫が落ちるほど濡れている。
こんなに濡れちゃってる、けど・・・。
甘えるわけにいかないよね・・・?
でも・・・。
ちょっと寒気がするし・・・。
「え・・・えと・・・。」
迷っていると先生は
とん、と私の背中を押して。
「羽織ちゃんの手に居る子猫と一緒にね。
このままじゃ風邪ひいちゃうからね?。」
結局その言葉に押されて
わたしはコクン、と頷いて
「はい・・・。」
とだけ言った。
「ま、子猫ちゃんは1匹だけじゃないからね。」
「?」
どういう意味なんだろ?
先生はさぁね、分からないならそれでもいいよ。と笑った。
そして。
私と先生は雨の中を歩き始めた。
「この子猫ちゃん、先生の所では飼えないですよね。」
「まあ、この子猫は飼えそうな知り合いに当たってみるよ。
猫好きそうなのが居そうだから。」
「そうですか、良かったー。」
あ、でも。と先生は私を覗き込むように。
「もう1匹のかわいい子猫ちゃんは今日と明日
オレのベッドで寝ること。」と。
「でも、子猫は貰われていくんですよね?」
「うん、そうだよ。でも・・・。」
と、先生は意地悪そうに微笑んで
付け加えるように最後にこう言った。
「オレの横に居る羽織と言う名のもう1匹の
かわいい子猫ちゃんは2泊3日のお持ち帰りで。」
「雨に濡れた子猫、お持ち帰りで。」
END
美晴さんから頂いた、小説です。
ぎゃぁーー!!!!
なんですか!
なんですか、この、萌え話は・・・!!!!
と、読んだ瞬間隣に旦那がいるのも忘れて「やばい!」を連呼してました。
もちろん、顔を緩めて(笑
いや、だって!
だって、祐恭!!!あんたって人はーーー!!!!
って感じじゃないですか!
でも、すごくイイ。
私が書くと必ずギャグに走る祐恭が、最後まできっちり〆てくれたから!!
満足です。
何がって、自分じゃかけない話を読ませていただけて(*´▽`*)
美晴さん、本当に本当にありがとうございました!!!
くぅっ・・・!!この羽織可愛いなぁ・・・。
しみじみと、祐恭が彼女を苛めてやりたくなる気持ちに浸ってしまいました(笑
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