【Q1】 どっちも。……でも、舐めるほうが多いかな。
【Q2】 結べない。1度やったことはあるよ?
【Q3】 飲んだことはないけど、舐めたことはある。苦いっていうか、独特の味。
【Q4】 ……1度だけ、つけたことがある。
【Q5】 白くて、おいしい? とろとろ。身体によさそう。
【Q6】 M。
【Q7】 15センチとか、20センチとか? ←長すぎ←そうかな? 普通じゃない?←どんだけ長いのが好きなのよ
【Q8】 2時間とか3時間だったかなぁ? ←先生と?←うん←あーそー。らぶらぶですコト←絵里もそうでしょ?
【Q9】 お兄ちゃんは、普段から割と立ってるよ? その影響で、立っちゃうかも……
【Q10】 後ろが一般的なんだよね?
【Q11】 ちょっと明るく。
【Q12】 両手。たまに右手だけ。
【Q13】 もちろん、洗う!
【Q14】 縄。
【Q15】 葉月、しーちゃん、アキちゃん、優くん、お兄ちゃん。←確かに、孝之さん好きそう←でしょ?
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「……はぁあ」
やっぱり、見るんじゃなかった。
思わず頭を抱えるように、額へ手のひらを当てる。
ちなみに、『←』で書かれているのは、どうやら絵里ちゃんの字のようだ。
……つーか、さ。
これを見れば、誰だって想像は容易いだろ?
いったい、これが何についての答えなのか――……なんてことくらい。
「…………」
目に付いて仕方がない、どーしよーもなくアッチ関係の言葉の羅列。
しかもそれが愛しい彼女の字なワケで。
……かわいい字で、こんなこと書くなよ。
もうダメだ。
直視できない。
ぐるぐると、頭の中ではあんなことやこんなことばかりが回り続けている。
舐める。苦い。白くてとろとろ。……15〜20cm。後ろ。右手。縄。
そして――……Mと、5人の名前。
……つーか、1番気になるのはところどころで出てくる『孝之』のことなんだが……。
なんだ?
いったい何に答えてるんだ? コレは。
……彼女たちに限ってとんでもない過ちなどには至っていないとは思うが、それでもやはり――……。
「気になる?」
「うぉわ!?」
いきなり聞こえたぼそっという呟きに、椅子ごとひっくり返るところだった。
「え……絵里ちゃん……!?」
「ふふんふふーん。見ーちゃった、見ーちゃったー」
「……なんだよ」
「はーおりーに、言いつけちゃおっかなー?」
「だ!? ちょっと待った!!」
眉を寄せた途端きびすを返した彼女の腕を慌てて掴み、こちらへ引き戻す。
そのとき、ちょうどテーブルにいた羽織ちゃんと目が合ったが、不思議そうに首をかしげただけで、それ以上追求されるようなことはなかった。
「……どういうこと? これ」
「気になるでしょ」
「それはもう、かなりどころか、めちゃくちゃ気になる」
得意げなしたり顔の彼女とは、正反対の自分。
だが、彼女は何か知っている。
……いや、知っているどころか、きっとこんなことを羽織ちゃんに書かせた張本人に間違いない。
だからこそ、どうしても知りたかった。
……っていうか、知る権利はあるだろ。
俺は、彼氏なんだから。
「これ。なんのこと?」
「羽織ってば、ちょー大胆よねー。……でも、先生だってうなずける場所あったでしょ?」
「う。……そ……それは……」
「先生と2時間も3時間もするんだー。いいなー、しっかりたっぷり……よっぽど濃いんでしょうね。中身が」
「ッ……! ンなこと、口にするモンじゃない!!」
「えー? いいじゃなーい。別に、やましくないんだしぃ?」
「そういう問題じゃないだろ!」
明後日の方向を向きながら、涼しい顔の彼女。
だが、俺はめちゃめちゃ困るワケで。
……つーか、そんなことをぺらぺらぺらぺら言わないでくれ。
そもそも、女の子が口にしていいようなことじゃないだろ?
こんな明るい時間に。
こんな大勢の前で。
…………はぁああ。
頼むから、どうか。
これ以上俺の寿命を削らないでくれ。
「それじゃコレ、ホントに……アレなの?」
「うん。アレ。……うふっふー。でも嬉しいでしょ? 羽織のことがわかって」
「それはまぁ――……じゃなくて! だから! そういうことを言いたいんじゃないんだよ、俺は!」
「えー? 私には、とーっても喜んでるように見えるけど?」
「喜んでない!!」
ぶんぶんと首を振って彼女に瞳を細める。
だが、一向に彼女が口を割ってくれそうな気配はない。
……マジかよ。
つーか、なんでこんな目に遭うんだ。
こんなこと、俺は知りたくなかったのに。
むしろ――……彼女のこういう面を、自ら進んで知りたがる男なんて……そう多くないんじゃないだろうか。
多分。
「……あれ? 祐恭君もやったの?」
「へ?」
彼女の腕を掴んで問いただしていた、ちょうどそのとき。
少し頭上から、あっけらかんとした声が降って来た。
「これ。……ん? 祐恭君じゃないね。かわいい字だし」
「あ、ちょ!? じ、純也さん!!」
ひょいっとつままれた紙に、当然こちらは慌てる。
だって、そうだろ?
その紙に書かれてるのは、紛れもなく俺の彼女の機密情報なんだから。
「ん? どした? そんなに慌てて」
「いや、だって……そりゃそうでしょう! いくら純也さんでも、それだけは勘弁してください」
「そーなの? ……まぁ、そういうなら……どうぞ?」
「……はぁ」
顎に手を当ててまばたきを見せた彼とは反対に、重くため息が漏れる。
……見られた。
まじまじと見ていたから、きっと幾つかは間違いなく。
…………あーもー、最悪。
純也さんにまで、見られるとは。
別に、彼がこの情報を元に何かするとか、誰かに話すとかなんてことは思わないが、それでもイイ気はしないのが本音。
彼は俺にとっての重要な人だとは思うが、それ以上に彼女はもっと大切で。
いや、まぁ……次元が違うとは思うんだけど。
だけどそれでも、俺だけの情報にしたいモノには、変わりなかった。
「俺は、8時間だったかな……。なぁ? 絵里」
「へ!?」
「いや、だからその答え。……えーと、ああ。8問目だったかな」
携帯を弄っていた彼が発した、仰天発言。
だが、瞳を開いたこちらとは反対に、彼は涼しい笑みすら浮かべていた。
……は……8時間て。
それは休憩を挟んでなんだろうか。
……いや、待て。
仮にも、相手は純也さんと絵里ちゃんだぞ?
つーことは、もしかすると……もしかするワケで。
「ん?」
「……純也さん、すごいっすね」
「あはは、まぁね。昔は若かったから。……いろいろあったし」
「うるさいわね。そんな昔の話はいいのよ」
この瞬間、彼らを見る目が明らかに変わった。
……すげ。
「でもさー、俺は……これ。この14問目は『欽ちゃん』って答えたんだよなー」
「……は?」
「やっぱ、そういう顔するだろ? いや、実はさー。『走る』と『飛ぶ』を間違えたんだよなぁ」
からからと笑って腕を組んだ彼に――……みるみる眉が寄っていく。
……いやいやいや、ちょっと待ってくれ。
なんだ? その答えは。
手元にある紙の『14問目』に書かれた彼女の答えは、『縄』。
しかしながら、彼は今『欽ちゃん』と答えた。
……あれ?
何か、おかしいぞ。
だって、ありえないだろ?
いくらなんでも、もし俺が考えている質問の答え――……だとしたら。
「……純也さん」
「ん?」
「この質問って、今わかります?」
「ああ、もちろん」
「……ちょっと、見せてもらいたいんですけど」
「ほい。どーぞ」
――……そのとき。
純也さんの後ろで、絵里ちゃんが小さく『えぇ!?』と声をあげた。
だから、こそ。
この瞬間、俺にはぴんと来るモノがあった。
そして、純也さんから質問が映されている携帯を受け取ったとき……これ以上ないってほど、瞳が細まるのがわかった。
……ちくしょう。
あれほど悩んだ俺の時間は、なんだったんだ。
身体の奥底から湧いてきた、なんともいえない怒りにも似た感情とは真逆の安堵。
……確かに、絵里ちゃんは嘘なんてついていなかった。
それは間違いないが、だ。
「……ちくしょう」
ゴミ箱へと紙を丸めて捨てた俺は、心底嫌そうな顔をしていただろう。
……冗談は嫌いじゃないが、騙されるのは心底嫌いだ。
騙されていたことが悔しいんじゃなくて、それを見破れなかったことがとても。
…………あーーーもーーちくしょう!!
事情を知らない純也さんと、すべてを知っている絵里ちゃん。
……こんなの大っ嫌いだ。
くそ。
ふたりの視線を受けながらも、相変わらず態度が直ることはなかった。
2005/11/13
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