「ありがとう」
「んっ……」
頬へ口づけしてから、そのまま唇を舐める。
途端、耳に残る甘い声が漏れ始めた。
「……ん……っ、ピザ……冷めちゃう」
「いいよ。温め直せば済むんだから」
「でもっ……!」
「いいから。……少し黙る」
ふぅっと耳元に息を吹きかけてやると、首をすくめてからもたれてきた。
その身体をゆっくりソファへ倒し、再び唇を合わせる。
「ん……っ! ……ん!?」
「……っ……。何?」
舌先で味わい始めた途端、急にぐいっと肩口を押されて拒まれ、思わず焦った。
今までは大人しくされるがままだっただけに、その比が大きすぎる。
「どうしたんですか、ここ!」
「え? ……あぁ、これか」
「これか、じゃないですよ! 腫れてる……」
痛そうに眉をしかめた彼女が、そっと俺の唇へ触れ――……ようとして、慌てた様子で手を引く。
傷だと認識したから、だろう。
……でも、どうしてって言われてもな。
「……羽織ちゃんのせい」
「え? 私のですか?」
「そう。ほかの男と絡んでたから」
「かっ……絡んでません!」
頬を染めてぶんぶんと首を振る彼女の唇に人さし指で触れ、そのまま口内へ。
「ん! ……ふ……」
一瞬驚いて瞳を丸くしたが、しばらすると瞳を閉じてその指を舐めた。
ぞくりとした快感が指先から広がり、思わず息が荒くなる。
ときどき見える舌があまりにも艶かしくて、ものすごくヤらしくて。
……えろいな。
我ながら、やるんじゃなかったと若干後悔する。
「おしまい」
「……っ」
ゆっくりと抜いた指を唇に当て、にっと笑う。
「消毒」
「……もぅ」
濡れた指を見せ付けるように舐めてから改めてキスをすると、先ほどまでの熱がこもっていたのか、ずいぶんと反応が良かった。
舌が熱い。
……これで我慢しろってほうが、無理だ。
髪に指を滑らせながら角度を変えて口づけると、濡れた音がすぐそばで聞こえた。
「……ん……せんせ……」
「まだ……全然、足りない」
小さく呟いてから彼女を抱きしめ、そっと首筋に唇を当てる。
「んんっ」
それだけで甘い声を漏らす彼女に、喉が鳴った。
欲しい。
……それこそ、全部欲しかった。
何度求めても飽きることのない、彼女のすべてが。
キャミソールをまくってホックを外すと、胸が露わになった。
雨に打たれた冷たさではなく、安心するような彼女の温もり。
ゆっくりとじらすように胸を揉み始めると、柔らかい声が唇から漏れた。
「は……ぁっ、んっ」
たまらず、その頂を舐める。
と、同時に声が変わった。
「うぁっ……! やっ……ぁ……っ」
「嫌なんて言わせない。……ここは学校じゃないんだから」
「で、もっ。ん……っ、また……変になっちゃう……!」
「……いいよ。むしろ、見たいね。何度でも」
息を吹きかけるようにして耳元で囁くと、身をよじらせながら彼女が首に両手を回してきた。
「……えっち……」
「お互いさま」
眉を寄せて軽く睨むかのような顔をした彼女に笑い、ちゅ、と頬に唇を落としてから、もう1度胸を責める。
そして、空いた手をスカートの中に忍ばせると、ひくんっと背中を反らした。
「っつ、ぁん……っ!」
指で撫でるようにしてやるだけで、ずいぶんと彼女が満ちているのがわかる。
「……風呂に入ったばっかりなのに」
水音に口角が上がり、わざと含み笑いをしながら耳元で囁く。
だが、彼女の息はすでに上がっており、ふと合った目も、とろんとしてとても色っぽかった。
「先生がっ……こんなこと、するから……」
「こんなことって?」
「……ん、もぉ……知らないっ」
ぞくぞくするような表情で苦しげに呟き、荒く息を吐きながら顔を逸らす。
そんな彼女がかわいくて、楽しくて。
小さく笑ってから下着の中に指を入れると、途端に、首へ回した手へ力を込めた。
「んっ! んんっ、や……ぁっ!」
熱い、彼女自身の蜜。
指ですくいながら絡め、花芽をそのまま撫でてやる。
「やぁっ……! あっ、もう……やだぁ……」
「嫌だなんて言わせないって、言ったろ?そういうこと言う子は……こう」
「んっ! ふぁっ……あ!! あぁっ……も……んんっ……っ!」
撫でる指に力を込めてやると、表情を変えて苦しげに息をつき始めた。
……もう少し。
新しく流れる蜜を、何度も絡めては音を響かせてやる。
すると、小さく首を振りながら不服げな顔を見せた。
「っ……いじわる……」
「羽織ちゃんがこんなに感じるからだろ。……やらしいな」
「……んっ、ふぁ……っ……あ!」
ぴくんっと反応をして、彼女が両手に力を込めた。
そろそろ限界だろう。
そこであえて指を離す――……と、少し驚いたような顔をした。
「……どうした? 嫌だったんだろ?」
「っ……いじわる……」
「嫌がることはしないよ。俺は、そんなに意地悪じゃない」
「……うぅ。さっきと言ってること、違うじゃないですか……っ。もぅ……意地悪しないで」
「……どうして欲しい?」
「んっ……! そ、んなぁ……」
今にも泣きそうに眉尻を下げ、ふるふると軽く首を振る。
そのかわいさに免じて許してあげてもいいが……もう少しだけ。
俺を、楽しませてほしいところだ。
「ちょうだい……」
……そうきたか。
「何を?」
「っ……。もぉ、意地悪っ」
「何が欲しいのかわからないと、あげようがないだろ?」
「……っ。……先生が……欲しい」
「俺の、何が欲しい?」
つい、にやりとした笑みが浮かんでしまい、我ながら正直すぎる性格を反省。
途端、彼女が不服そうに睨む。
「……もう! じゃあいいですっ」
「いいの? あ、そう。こんな中途半端でいいんだ」
「っ……だって……先生が意地悪するなら、いいもん」
「……ふぅん」
「っん!」
そっぽを向いてしまった彼女のソコを指先で撫でると、相変わらずいい声をあげた。
全然、平気じゃないクセに。
慌てたように口を両手で塞ぐが、もう遅い。
「いいんだ。へぇ。じゃあ、おしまい」
「もぉ……意地悪な先生はきらい……っ」
「……嫌い? 今そう言った?」
「っ……!」
眉を寄せて彼女を見ると、表情を一変させて困ったように瞳を合わせた。
「だ、だって!」
「だっても何もないよな。嫌い、ね。そ。わかった。じゃあもういいよ」
「っ……先生!」
ふっと瞳を伏せて彼女から離れようとすると、慌てたように首へ腕を絡めてから、ぎゅっと抱きついてきた。
が、当然声音は変えない。
「嫌いなんだろ?」
「嫌いじゃないですっ……大好き、だもん」
「……嘘つき」
「…………うぅ……」
首を緩く振るたびに、さらさらと彼女の髪が当たる。
別に、困らせるつもりはないし、今のが本音だとは思っちゃいない。
それはそうだが……まぁ、おもしろくないのもある。
俺は、彼女に想われてナンボの人間なんだから。
「っ……」
じぃっと困ったように目を合わせていた彼女が、唇を合わせてきた。
唇の腫れた部分を優しく舐めてから、そのまま口内へ。
……ずいぶん大胆になったな。
…………。
って、俺のせいか。
キスに応えながら内心で苦笑を漏らし、そのままソファに倒す。
「冗談でも、もう1度言ってみろ。学校だろうとどこだろうと、問答無用で抱いてやる」
「……ごめんなさい」
眉を寄せてうなずいた彼女に口づけを落としてから、ゆっくりと秘部へ指をあてがう。
「っ……ん……ぁ」
すでにそこは十分潤っており、何よりも熱く指を包み込んだ。
いつもより、ずっと柔らかい。
そう感じると、ぞくぞくとしたモノが背中を走る。
「っあ……!」
くちゅくちゅと音を立てながらしばらく中を探っていると、彼女が敏感に感じる場所に辿り着いたらしく、表情と声を変えた。
そこを撫でるように触りながら、こすりつけるように指の動きを変える。
「っ! んあっ!! っはぁっ……あっ……んっ、んんっ」
びくびくと足を震わせながら動きに応えるたび、よりいっそう濡れていく。
中に指を入れたまま親指の腹でを撫でると、彼女が背中を逸らした。
「っうぁ……! やぁっ……も、ぅだめっ……やあぁっん!!」
指が締め付けたソコが、何度もひくついた。
……今日、何度目だろうな。
なんてことを考えながらゆっくりと指を抜き取り、舐める。
と、その音で気付いたのか、うっすらと瞳を滲ませて『もう』と彼女が眉を寄せた。
ポケットに入れたままだったパッケージの封を切り、自身にあてがってから彼女の中へ。
「っく……」
「んぁっ……!」
相変わらず、入っただけでも果ててしまいそうな熱さと心地よさに、くらくらと眩暈を感じる。
根元までしっかり這入りきったところで、ひといき。
それから動き始める――……のだが。
……持たないかも。
なんてことが、うっすらと脳裏に浮かんだ。
「ぁっ、あ……んっ……!」
「……は、……っ! キツ……」
荒く息をつきながら耳元で囁くと、そのたびにきゅっと締め付けられて堪らず声が漏れた。
「……くっ」
「ッ! あ、だ……めっ……! そこっ……!!」
「……ここが、いいんだろ? だったら拒んだり……しないッ……くっ」
「あぁっ……! は、ぁっ、……っく……あ、も、う……だめぇえっ……!」
「……っくあ……!」
突然の締め付けに、堪らず彼女へもたれかかる。
――と同時に、こちらも果てた。
びくびくと幾度も襲う、彼女の締め付け。
快感に呑まれそうになり、たまらず目が閉じる。
「……は……ぁ」
ゆっくりと息をしながら彼女を見ると、だるそうに肩を上下させていた。
「もぅ……えっち……ぃ」
「……羽織ちゃんが、そうさせるんだよ」
ふっと笑って彼女を見ると、薄っすら苦笑を浮かべた。
そんな彼女の乱れた髪を撫でてやりながら頬に口づけ、嬉しそうに頬を寄せる彼女を抱き寄せる。
「………はぁ……幸せ」
思わず漏れた、本心。
嬉しそうに抱きついてくれた彼女に笑みが浮かび、大きく息を吐く。
「……私も」
ゆっくりと身体を離して唇にキスをしてから、ティッシュを幾つか取って拭ってやる。
だが、さすがに学んだのか彼女が拒んだ。
「自分でできますっ」
「いいの」
「ん……っ」
わざと強めにあてがうと、堪らず眉を寄せた。
……ああ、どうしたって俺は彼女に対して意地が悪いな。
改めて、自覚。
「……あ」
服を着てからすっかり冷えたピザを見ると、彼女がゆっくり立ち上がってそれをキッチンに運んだ。
「あたため直して……食べます?」
「うん。……腹減ったな。運動しすぎた」
「っ……!」
ニヤニヤと彼女を見ながら呟くと、頬を染めてぷいっと顔を逸らされた。
この分だと、あと何回かイけるかも。
我ながら不謹慎なことを考えつつ、今夜に思いを馳せる。
……って、こんなことをまだ考えてるのがバレたら、本気で呆れられるかも。
だがまぁ、仕方がないだろう。
制服姿で、我慢させられた罰ってヤツだ。
……などと、“そのとき”にそなえて自分勝手な言い訳をいくつか用意しながら、テレビへと視線を向けた顔は、やはりひとりでに笑っていた。
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