「や……ぁっ……」
彼女が身をよじるたびに、服の擦れる音が響く。
……普段は、まったく気にもしないのに。
どうしてこういうときだけ、白衣のかさばりが気になるのか。
「ん……! だ、めっ……」
「ダメ? どうして」
「だ……って……せっかく、洗ったのに……」
ぼそ、と呟いてから顔を覗き込むと、少しだけ拗ねているように半伏せのまま俺を見上げた。
……眼鏡越しの、瞳。
しかも、普段俺がしているソレ。
「……かわいい」
「…………もぉ……かわいくないですってばぁ」
「かわいいんだよ。……自分じゃわからないだろうけど」
どうしても彼女を見るたびに、ニヤけてしまう情けない自分。
だが、俺だってこんなに似合うとは思わなくて。
……別に、眼鏡フェチとかいうわけじゃないが、彼女がしているのは俺の物で。
そういう理由から、たまらなくソソられる。
「『高校教師』ね。……何考えながら見てたの? センセ」
「っ……! ……うー……先生じゃないのに……」
「いいから。……お返事は?」
彼女を身体の下へ捉えたまま、耳を舐める。
……ここ、弱いんだよな?
そう思うと、余計にやってやりたくなるワケだが――……それはきっと、彼女もわかっているんだろう。
濡れた音を少しだけ響かせるように立てると、ぞくっとしたいい顔をしてから瞳をきゅっと閉じた。
「……別に……何もっ……」
「ふぅん。何もないのに、俺が見ようとしたらチャンネル変えるんだ」
「そっ……そういうわけじゃ……」
「あるだろ」
「ん!」
ひときわ低く囁いてやってから、後ろ向きのまま胸へと手を伸ばす。
途端に触れられる、柔らかい部分。
……それでつい、自然と顔が緩んだ。
「何? ひょっとして、自分重ねた?」
「ぁ……そ、……んなことは……っ!?」
「嘘つき」
「っきゃ!!」
緩く首を振った彼女を見てから、ぐいっと身体の下に手を入れて身体の向きを強引に変えさせる。
ソファから少しずり落ちたような格好で、瞳を丸くする姿。
――……それに。
「っ……!!」
「……ヤラシイ格好」
「ん、せんせっ……や……!」
「ヤダとかいう言葉は、いらないんだよね。……今は」
「先生っ!」
ぐいっと彼女の足に触れたまま少しだけ押し上げ、ソファへ押し倒す。
……イケナイ子。
俺の仕事着を着て、眼鏡をかけて。
挙句の果てに――……ガーターベルト?
「んんっ!」
薄っすらとした笑みを浮かべたまま太腿を撫で、そのままスカートの下へと這わせる。
途端に、先ほどよりもずっと露になる……黒のガーターベルトと揃いの下着。
「っは……ぁ! やっ……ん」
セーターをたくしあげながら首筋に唇をあて、軽く吸ってから舐めてやる。
唇を離せば、俺によって跡付けられたモノ。
……ある意味、見事だな。
「っ……ん!」
「……やらしい子」
「そ、んなぁ……っ」
「白衣に映える、黒い下着」
「っ……!」
「――……そして、キスマーク」
「や……くすぐったぃ……」
口に出した箇所箇所を手で触れ、最後に首筋から唇へと向かう。
濡れた、艶っぽい表情。
……イイ顔するようになったな。
さすがに年上には見えないものの、今目の前にいる彼女は十分すぎるほど“女”になっていて。
「っん!」
「……最高」
きゅっと抱きしめると同時に笑みが浮かび、軽く頬へと口づけていた。
「っん……んっ…ぁ」
抱き寄せるようにして鎖骨から胸元へ唇を滑らせると、堅くしこった場所に行き当たった。
甘噛みしてから舌で撫でると、そのたびに身体を震わせる部分。
……相変わらず、いい声。
「っぁ……」
ホックを外してからわずかに指でずらし、そのまま――……直に口づける。
すると、びくっと身体を震わせながらも、ひと際いい声を聞かせてくれた。
「あ、んっ……!」
空いている手でもう片方の胸をやんわり揉むと、相変わらず感触がなんともいえず心地いい。
……しかし。
何よりも1番いいのは、この、自分自身のせいで快感にじっとりと揺さぶられている彼女の反応なわけで。
「っ……ん、だ……めぇ……」
「ダメじゃない」
「……はぁ、ん……っ」
指先で引っかけるようにショーツを下ろすと、すぐにしっとりと蜜で潤った秘部に指先が沈んだ。
「……それにしても……」
「……ふぇ……?」
くちゅ、という濡れた音を聞きながら浮かんだ笑み――……とは、また少し違う。
どうやらそれを彼女自身も感じたのか、目を開けてから少しだけ惚けたような顔で俺を見上げた。
「ずいぶんと印象が変わるモンだな」
「……印象……?」
「そ。……コレとか」
「ッ……!」
視線を合わせたままで触れたのは、しっかりと目の前にさらされている――……ガーターベルト。
……まさか、これを付けたままでもコトに及べるとは思わなかったな。
てっきり、コレを外さなきゃダメなんだと思ってたから。
「便利というか……うまくできてるんだな」
「そ……っ……そのためにあるんじゃ、な……!」
「そう? このため以外に考えられないけど」
「違いますってば!」
首を振って困ったような顔をした彼女に笑うと、今置かれている自分の状況がわかったのか、恥ずかしそうに頬を染めてから視線を逸らしてしまった。
……ま、そうするだろうと思ったけど。
でも別に、こんなふうにオイシイ状況ができあがるのであれば、理由なんて必要ないというのが正直なところ。
使い方が違っても、いいんだよ。
それで――……新しい発見もあるんだから。
「っ……んぁ!」
「……アツ……」
彼女を身体の下に捉えたまま秘所に手を伸ばすと、びくっと身体を震わせながらもしっかりと指を飲み込んだ。
普段より、少し早い……気もする。
だが、これほど潤っているのは、彼女自身がいつもよりもずっと感じているという証拠。
それがなんとも言えず、つい笑みが浮かぶ。
「ん……っ……ぅ」
くちゅくちゅとわざと音を立てるようにしなくても、指を動かせば自然に音が伴っていた。
……ここだよな? 弱い部分。
深い場所をなぞりながら彼女を伺うと、荒く息をついて首を横に振る。
だがそれは、『違う』という意味じゃなくて。
彼女特有の『ダメ』というモノ。
……果てが近いか。
暗暗の内に理解して親指で花芽を弄ると、すぐに声の質を変えた。
「っん……ぁっ!」
途端、肩へ置かれていた手に力がこもる。
……とはいえ、ここで容赦してやるわけがなく。
「や、やぁっ……ん! もっ……あっ、くぅ……」
指を増やして一層深く探ってやると、ぎゅうっと肩を掴んだ手が、ときおり震えた。
……それじゃあそろそろ、ワガママをひとつ聞いてもらうか。
息を荒くつく彼女の頬に触れると、かったるそうに目を開けた。
「……ねぇ」
「…………え……?」
「おねだりして?」
彼女に視線を合わせたまま蜜をすくい、充血したソコをゆっくりと円を描くように刺激すると、甘く息を漏らした。
「……えぇ……?」
「えー、じゃない。『もっとちょうだい』って言って」
「っ……いじわる……ぅ」
泣きそうな瞳に思わずグラつくが、ここで耐えねば。
……このチャンスを逃せば、恐らく二度と言ってくれないだろうから。
そんな予感がするからこそ、どうしても折れるわけにはいかない。
「いいの? このままで」
「……や……ん、よくないっ……」
「じゃ、言って?」
「……いじわる」
「まぁね」
軽く睨まれるが、そんな表情で言われても効力はないわけで。
にっこりと笑みであしらうと、思いつめたように唇を結んでからため息を漏らした。
「……もっと……」
「もっと?」
「ん……もっと……ちょうだい……」
「何を?」
「……うー……」
即言葉を返しながら口角を上げると、眉を寄せた彼女がそれはそれはつらそうに呻いた。
……もう少し。
あと少しだけ、聞かせてほしい。
そう思うのは当然我侭だとわかってるが――……どうしても。
……ほしいと思うのは、悪いことじゃないよな?
「もぉ……やだぁ……」
「もう少し」
「ん、だって……もぉ……っ……先生が……欲しいの」
まっすぐに目を見て言われた、そんな懇願。
快感か羞恥か。
そのどちらのせいでか、薄っすらと潤んだ瞳。
「んんっ……!!」
「……っく……」
そんな顔で『欲しい』なんて言われて――……大人しくいられる男がどこにいる。
彼女の肩に手を当てて身体を支えてから一気に中へ這入ると、熱さと狭さからか、たまらず息が漏れた。
「……っは……サイコ……」
「んっ! ん……ぁ……ふぁ」
だるそうに首へと回された、彼女の両腕。
そして、わずかに耳元へかかる……荒い吐息。
「っ! っひゃ……ぁん……っ!」
「……ッ……」
指先で蜜をからめてから花芽を弄ると、自身をしっかりと奥から締め付けてくれながら、ひときわ甘い息を漏らした。
そのたびに、つらそうに漏れる息が耳へかかり、もっと責め込んでやりたくなる。
……ああ。
やっぱり俺は、相当彼女に対して手加減というモノを知らないらしい。
「っあぁ! ……あん、んんっ……!」
身体の角度をわずかに変えてから奥まで責めると、彼女の身体が反応を返す。
……よすぎて、おかしくなりそうだ。
彼女の弱い部分を刺激すれば、彼女が喘ぐ。
だけど、当然同時に俺だって快感に襲われるワケで。
「っん、ん……ぁ、ダメっ……そ、んな……」
「……ダメじゃないだろ? ……っく……欲しがったのは、誰だっ……?」
「だ、って……っやぁ……うんっ、ん、……あぁ」
軽くいやいやをしながら応える姿は、いかんせん挑発的で。
……しかも今日は――……そんな彼女には不似合いなほどの、いろっぽい下着を身に着けてもいて。
「っきゃ……!?」
「は……っ……すげ……ヤバい」
「ん、んっ……せんせ、ぇ……っ!」
ぐいっと身体を彼女のほうへ倒し、ソファにかろうじて手をつく。
……おかしくなりそうだ。
視覚的挑発と、聴覚的挑発。
そのどちらも比べられないほどの力で……俺を責めていて。
「……あ、あっ……ん……! せんせ、も……ぅっ……ダメ……ぇ!」
「欲しいって……言ったろ……?」
「だけどっ……ん、やぅっ……!」
「……イきたくないの?」
「っ……! いじわる……ぅんっ、あ、っくぅ……ん!」
動きを少し変えて円を描くように律動を送ると、そのたびに眉を寄せてしどけなく唇を開いた。
…………。
……そうだ。
「……ふぇ……?」
荒く息をつく彼女から眼鏡を外してやり、頬へ手のひらを当てる。
「…………」
「……何?」
まだ何も言っていないにもかかわらず、彼女が眉を寄せて心底嫌そうな顔をした。
それで当然、こちらも眉が寄る。
……まぁ彼女ならば、俺の考えていることくらいわかってくれそうだけどね。
苦笑を浮かべてから耳元に唇を寄せ、わざと息をかけながら続ける。
「こういうとき、なんて言う?」
「こ……ういうとき……って?」
「気持ちよくて、切羽詰まったとき」
「っ……」
呟くというより、たっぷりと息を含めて囁いてみる。
そうしてやってから身体を離すと、驚いたように瞳を丸くした。
「やっ……そんな……」
「じゃあ、このままでいいの?」
「っ!? やっ……やだぁ……いじわる」
「……気持ちよくなりたくないの?」
「…………うー……そんなの無理……」
意地が悪いのは承知の上。
だけど、聞きたい。
彼女に言わせてみたい。
『言わなきゃダメ』
そんな意味を込めて動きを止めたままじっと見つめていると、1度視線を逸らしてから――……おずおずと顔を上げた。
コレでもかというくらい、頬を真っ赤に染めて。
「……先生……」
「ん」
瞳を細めると、しばらく見つめてから……やがて彼女が囁いた。
「……イかせ、て……?」
しっかり耳をそばだてていなければ、聞き逃してしまうような小さな声。
……だけど、今。
目の前の彼女は、しっかり俺に向かって――……おねだりしたワケで。
「んぁっ……!」
「……いいよ」
ぐいっと角度を変えて突き上げながら、自然に笑みが漏れた。
「っや……ぁん、んんっ……!」
酷く淫靡な言葉を彼女が言うと、どうしてこれほどまでにソソられるのか。
……なんて、当然答えは最初からわかっているから、あえて言わせるんだけど。
だってそうだろ?
そんな言葉を彼女がいうことがほとんどないからこそ、身体の芯が疼くんだから。
「っん、んっ……ふぁ……」
ぎゅっと首に回された腕をそのままに、舌を耳から首筋に這わせ、同時に指で花芽を責めやる。
1度果てかけた身体はさらなる快感を生み出すワケで、色を変えた彼女の声がやけに艶っぽく届いた。
「ふぁ……っ……ん、や……あ、ダメ……いっ……」
「……ヤじゃないだろ……? 欲しがったのは誰だよ」
「だってぇっ……ん、んんっ!」
耳元で囁くと、軽く首を振りながら必死に耐える。
それが、いつも以上にヤラシク映る。
……なんせ、当然――……黒い下着もともに揺れるわけで。
「っきゃ……!」
「……っこんな……カッコして……」
「あ、あっ……だ……ってぇ……!」
「俺にどうしてほしいんだよ……!!」
「っやぁあっん!」
大きく息を吸いながら律動を速め、一層彼女を責め立ててやる。
徐々に奥から締め付けられたのが、何よりも彼女が感じている証拠。
……果ては近い。
だからこそ――……より一層の快感を、彼女に。
「んぁ、……っくぅん……ふぁ、あんっ」
「……っく……羽織……!」
「あ、あっ……だ、めっ……! そんな、されたら……ッあぁあ!」
「されたらッ……?」
「ん、んんっ……ん……! いっ、ちゃ……ぁんん!!!」
「っく……!」
自身の昂ぶりを感じながら最奥を目指して、強く強く突いたとき。
ぎゅうっ彼女の腕に力が入り、ひときわ大きく身を強張らせた。
「やぁん……もぅっ……は……ふぁ」
びくびくと幾度となく自身を締め付けられ、ほぼ彼女と同時に果てていた。
余韻に翻弄され続ける、身体の下にある彼女。
……やらしい。
白衣をソファへ広げたまま着崩した――……というよりは、半脱ぎの状態。
……しかも、いつもと違って……黒い下着がばっちりと身体に纏わりついているワケで。
「っ……きゃ……!?」
「……いい格好」
「ん、せ……んせっ……くすぐったい……!」
「……もう少し」
「うー……もぉ……」
彼女に身体を預ける格好でソファにもたれると、小さくため息をついた彼女が……髪を撫でた。
その手があまりにも心地よくて、ついつい瞳が閉じてしまう。
――……が。
「…………」
当然、まだ繋がったままなんだけど。
…………。
……まぁいいか。
どうせ彼女が思い出すのは、きっと……あと少ししてからだろうし。
そう思って身を委ねると、ガラにもなく笑みが浮かんだ。
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