「───ん、んぅ…っ」

 

性急に口付けられた唇からは、驚きの声と快感の吐息。

久しぶりに唇を合わせるだけでも、ぴりぴり電流が走るぐらいの気持ちよさ。後頭部を押さえられながらキスをされ、夢中になって唇を交わす。

漏れた吐息からは甘い香りが漂い、次第に距離が縮まっていく体。

 

「……ん、はぁ……」

「真姫」

「…ふぁ…?」

 

「…可愛いよ」

 

片手で頬を抱え込まれるように、にっこりと微笑む笑みはまるで爆弾のようだった。

意地悪く顔を歪ませる笑顔も魅力的だが、素直に私を褒めて笑う彼は核弾頭並に私の心臓を跳ね上がらせた。

 

「………コレにして、正解だったな…」

「ドレス…?」

「ああ。…真姫に似合うと思ったんだ」

「あ、ありがとう…」

「白い肌に、白いドレスを着せるとこんなに肌のきめ細かさが際だつなんて、知らなかったよ」

 

言うなり、首筋にキスを落とす。

ぴりっとした刺激が首から伝わって、鼻から声が出ると顔を上げた稔が満足げに、先ほどまで口付けていた部分に人差し指を這わせた。

 

「……だから、俺の紅い華も映える…」

 

つつつ、と首筋を這う人差し指が、鎖骨に降りて、緩やかな二つの丘にかかろうとしていたその時、もう一度唇が降りてきた。

 

「ん、…んふぅ…」

 

噛み付かれるようなキスにドキドキしながらも、自分なりに応えていくと、稔の大きな手がホルダーネックのリボンを解く。

ぱさり、と音を立ててソファの上に落ちる音が聞こえてきたが、重ね合わせた唇が奏でる水音によってすぐに掻き消された。

 

「…ん、…ん、……ひぁんっ」

 

背中のチャックを手早く下ろし、同時にブラジャーも外すと、稔は少しひんやりとした手で、ドレスが滑り降りた私の上半身に手を這わせた。

突起している乳首が存在を強調していて、ひんやりとした彼の大きな手に転がされた。

 

「…可愛い…」

 

くすり、耳元で囁いた稔の声がまるでセイレーンの歌声のようだ。

魅惑的でなにをされても許してしまえる、唇からもたらされた快感にぽぅっとしてると稔が改めて私の体を見た。

 

「………みのる…?」

「んー?」

「なぁに?」

 

滑り下ろされたドレスは腰の辺りで止まっていて、上半身は完全に外気に晒されてる状態。

稔と付き合い始めてから二カップも上がった乳房をまじまじと眺めると、そっと手を触れてきた。

 

「……んっ」

 

下から持ち上げるように重量感を楽しむと、硬くなってる乳首に親指で触れる。

びくり、と私の体が反応すると嬉しそうに口角を上げた。

 

「…俺好みの体に育ちやがって…」

 

嬉しそうに、突起を捏ねたり摘んだり、弄んでいる間、彼は私の反応をソファの背もたれに片肘着きながら楽しんでいる姿が、様になっていてむかつく。

 

「ん? どした?」

「……や、ぁんっ…」

 

「やめて」と言葉を紡ぎたいが、一番感じられる場所からの快感にうまく言葉に出来ない。

両腕に力を入れようとしたが体が言うことを利いてくれない、口からは快感を乗せた吐息しか出てこないし、体ももう限界だった。

 

「………んぅ…っ」

「…真姫?」

「ふぁああ、…み、の、るぅ…ん」

 

そろそろ限界だった。

先端から痺れるような快感を断続的に与えられてしまえば、言うことを聞かざるをえなくなる。

今まで聞いたことのない声が、私の口から出る。

 

「…みの、る…」

 

甘く、強請るような、絶対的な「女」の声。

さすがの稔も、なにかを感じたのか、弄んでいた手を止めた。

 

「……ん?」

 

にっこり微笑んで、続きを強請る。

 

「……」

「黙ってるだけじゃ、解らないだろう…?」

「……みのる」

「ん?」

「…ベット」

「寝室、行きたい?」

「……ん」

 

こっくり、頷いてやると彼も満足そうに微笑む。

もう体に力が入ってないのを知ってるくせに、私を支えながら立たせてドレスを完全に脱いだ。

ショーツだけの格好になって、求めていた彼の体に体を押しつける。

きつく抱きしめると、店内で泣いたときについたメイクがYシャツについていた。

 

「……真姫?」

「………」

「寝室、行くぞ?」

「………」

「…真姫??」

「……連れてって」

「…寝室まで?」

「………うん。だって、私ホストらしいことしてもらってないよ…?」

 

抱きしめながら見上げると、稔は困ったように笑った。

 

「……はいはい、それじゃぁ意地悪はこれぐらいにして、今日はとびっきり優しく抱いてやろう」

 

と言って、軽々と私を抱き上げた。



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