「あ……ん……っ!」
「……いい声」
「っや……あ、あっ……やめて……くださ……ぃっ……」
「……ふぅん。そんなこと俺が許すとでも?」
「や……っ、だって……ぇ……」
身悶え、頬を染め――……そして、しどけなく唇を開いて。
我が家に連れ帰ったかわいい優秀なメイドは、俺の前に姿態を素直に見せてくれた。
……かわいい子。
見れば見るほどそんな思いが強くなり、それと同時に――……ついつい手が出てしまう。
…………。
まぁ正確には……食指が動くって言ったほうが正しいかもしれないが。
「っ……ん!」
「……ココ弱いんだよね」
「ぅ、やっ……」
「ヤダとか言わせない」
「……くぅ……っん……」
つつっと指先でそこを撫でてやると、思った通りに身体を丸めた。
……相変わらず、本当に彼女は素直だと思う。
反応も……そして、身体も。
「っあ、あ、っ……や……!」
「……気持ちいいクセに」
「んんっ……! ……そ……んっ……あ……ッく!」
「……ココとか」
「っきゃぅ……!? ん、せんせっ……」
「んー? 俺は何だっけ?」
「……ふっ……だっ、から……! やっ……だっ……!!」
「だから?」
ぼそぼそと耳元で囁くと同時に、やはり口角が上がった。
……楽しいことに対しては、やはり人間素直な反応が出るもんだな。
俺らしいことと、彼女らしいこと。
これがまさに、今このときに現れてるんじゃないだろうか。
「ッ……や! そうやっ……て……くすぐるのっ……反則ですってばーー!!」
涙まで浮かべた彼女は、ものすごく必死な抵抗を見せてくれながら思いきり俺に背を向けた。
――……かれこれ、どれくらいの時間がすぎただろうか。
いや、別に俺は彼女をくすぐってその反応を見るのが好きとかっていう、ちょっと特殊なフェチだとかは言ったりしない。
断じて。
だけど、いつもよりずっとおどおどしていて、『何かされるんじゃないか』みたいに見られていたら、そりゃあ……誰だってやりたくなるだろ?
っていうか、ほら。
そこまで訴えられたら、期待には応えないと。
彼女に関してはこれでも、一応サービス精神旺盛なほうだから。
「いやー……。なんか楽しくて、つい」
「つい、じゃなっ……きゃぁ!? っ……はっ……あははっ!! あ、やっ……やめっ……」
「やめようやめようとは思うんだけどさ、楽しいんだよね。結構」
「やぁあ!!! やっ……! せんせっ、そんな……っく……っきゃははは! たっ……淡々とっ……言うのやめ――……っあはははは!!!」
ソファに力なく倒れた彼女へ、先ほどからずっと離れてくれない我が両手。
どうしても腰骨あたりを探るかのように動くあたり、もしかすると自我とかが芽生えているのかもしれない。
……意外と、あったりして。
相変わらず閉じた瞳の端に涙を溜めたままの彼女を見ていたら、どうしたってこちらも笑顔が浮かぶ。
ああ楽しい。
これだけの反応を見せてくれることと――……期待通りの結果をくれる、愛しい彼女が。
「あははははは!!! やだっ……やっ……!! くるしっ……苦しいーーっ!」
「……しょうがないな」
「っは……あ……。はぁ……っ……はぁあ……」
ぶんぶんと首を振ったままで腕を叩かれ、そろそろ『限界』だと思いきり訴えられた。
こうされた以上、俺だって別に鬼とかじゃないワケで。
まさに堪能という言葉以外当てはまらないほど楽しませてもらったので、あっさり引いておくことにした。
……あまりやり過ぎると、機嫌を損ねかねないからな。
ただでさえいつもと違う『メイド』なんていう不安定な立場にいる、彼女なんだから。
「……はー……苦しかった……」
「俺は楽しかった」
「……もぅ」
ぜいぜいと肩で荒く息をつきながら、ソファにぐったりと身体を預けている彼女。
その様子のどこを取っても、やはり今は身体に力が入らないということを訴えてくれていて。
「……え……?」
「それじゃ、そろそろ本題ね」
覆い被さるように彼女を身体の下に捕らえ、瞳を細めてから笑みを作ってやる。
……いや。
『作る』という表現は正しくないな。
なんせ、自身の影が落ちた彼女を見たら……自然に取った、自身の行動なんだから。
「……弄るのはここまで」
「…………な……にが、ですか……?」
片手で彼女の髪をすくうと、さらさら音を立ててソファへと落ちた。
……だが、当然いつもの彼女とはまったく違う。
だってそうだろ?
目の前の彼女はまだ、あの――……似合いすぎるかわいらしい服を身にまとったままなんだから。
「今度は、かわいがる番」
「っ……!」
すっと顔を近づけてから目の前で囁くと、俺を見つめたままの彼女が喉を動かした。
……素直な反応。
それはもちろんいつだって大歓迎だが――……ときによっては、それが危ないってこと……彼女は知っているだろうか。
無意識の内に煽って、自分自身を結果として追い詰めるのに。
「あ……っ……」
「……キッチリ、ねぎらってあげよう」
『この俺が、直々に』
そう心の中で続けたのは、気のせいじゃなかったはずだ。
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