「んっ……ぁ」
思わず、首筋に唇を寄せる。
滑らかな感触が、相変わらず心地よかった。
タキシードの上着を脱いでからネクタイを片手で外し、放るようにベッドの端へ。
そして、袖とシャツのボタンを外してから、彼女を抱きしめるようにしてドレスを脱がせる。
「や……っ、恥ずかしい……」
「きれいだよ。すごく」
正面から彼女を捕らえ、少し瞳を細めてやる。
それだけで、眉を寄せて恥ずかしそうに視線を下げると、胸元を隠すように手で肩を抱いた。
いつもと違う、下着。
ブライダルインナーってやつらしいが……造りがかわいらしくて、彼女にはよく似合っていた。
だからこそ、かなりソソられるんだけど。
「……嫌?」
「っ……」
相変わらず、彼女に意地悪な質問。
そんなふうに答えるなど微塵も思っていない、人の悪いモノだ。
「……いじわる」
「待ってたクセに」
「そ……んなことっ」
「違うの? ……俺はずっと待ってたんだけど」
「っ……」
ふっと真面目な顔をして彼女にすり寄ってから、唇を塞ぐ。
抵抗なく、ゆっくりベッドに沈む身体。
なぞるように口内に舌を這わせ、絡めて軽く吸う。
そのたびに肩に回した手が反応を見せ、ついついいつもより深く口づけていた。
「……ん、ふ……」
小さく息をつく彼女に、そっと手を這わせる。
インナーをたくし上げるようにしてブラを外してやると、胸がすぐに露わになった。
「んっ……」
締め付けがなくなったせいか、彼女が小さく声をあげる。
首筋に舌を這わせてやりながら手のひらで胸を包むと、相変わらず心地いい柔らかさに笑みが浮かんだ。
「あ……あっ……ん」
快感に飲み込まれそうになるときの、彼女の顔が好きだ。
何かを耐えるように、切なげに寄せられた眉。
しとやかに、開いた唇。
まさに、そのすべてが自分によってそうなっていると思える瞬間。
「んっ……!」
首筋の、少しうなじに近い部分。
そこが彼女の弱い場所。
そっと舌を這わせてやるだけで、ぞくぞくといい表情を見せてくれる。
さすがにドレスをもう1度着るので、見えるところに跡を残すのはまずい……か。
舌を下げながら胸の間を滑らせ、膨らみの少し上の辺りを軽くついばむようにしてから、吸いつくように口づける。
「……ふ、ぁ」
唇を離すと、赤く付いた跡が目に入った。
指でそこを撫でてから、悦を感じて硬くなり始めている胸のいただきに舌を這わせる。
「あっ、ん……んっ」
ぴくんと身体を震わせて、徐々に力を抜いていく彼女。
ゆっくりと身体に沿わせるように手を這わせ、そっと太腿の内側を撫でる。
「やぁ……ん」
案の定、かすかに足を震わせていい声を聞かせてくれた。
何度かそこを往復してやってから、布地越しにショーツの中央へ触れる。
「ひぁ……っ」
「……感じやすいな」
「やぁ、だっ……」
ぽつりと呟いた言葉で、さらに彼女が濡れてくれるのは充分にわかっている。
だからこそ、余計にやってしまうのだが。
ゆっくりと溝に指を当てて往復してやると、甘い声を漏らした。
直に触れることなく、そっと彼女の感じやすい部分へ指をあてる。
「んっ……ん」
切なそうに寄せられる眉。
少し上気した頬。
……あーもー、たまらない。
「……欲しい?」
「んっ……ちょうだい」
「……ずいぶんいい子だな。じゃあ、素直に聞いてあげる」
『うん』じゃなくて、『ちょうだい』と言われると、どうも弱い。
きっと、ほかの女性に言われても彼女ほどの甘い感じはないだろう。
潤んだ瞳でそう呟かれると、理性なんぞ吹っ飛んでしまいそうになる。
片手でショーツを取り払うと、つ……と蜜が糸を引くほどだった。
「……ずいぶん感じてくれてるじゃないか」
「……いじわる……ぅ」
くちゅりと音を立てて指先を差し入れてから、そっと抜いて再び指先だけをあてがってやる。
弱い箇所は、俺だけが知っていればいい。
彼女は、自覚しているだろうから。
「んぁっ……う、く……んっ」
きゅっとベッドのシーツを握り締め、軽くいやいやをするように首を振る彼女。
そんな彼女に寄り添うように横になりながら、耳元で囁く。
「……いらないの?」
「や、だっ……いじわる……しないで」
「じゃあ、どうして首を振る?」
「…………やめて……欲しくないから……」
「っ……」
ぽつりと呟いた彼女の頬は、いつもよりずっと染まっていた。
だが、珍しく自ら求めた彼女の言葉。
それが、予想以上に自分を昂ぶらせた。
「……やめてなんかやらないから」
「んっ……ん! ……ぁ」
意地悪く笑ってから口づけると、ねっとりと絡むようなキスにかわっていた。
彼女が感じている証拠。
だからこそ、より一層感じてほしくなる。
「あ、あっ……ん! や……祐恭さぁん……っ」
「ん? ……何?」
「だ、めっ……イっちゃう……っ」
「いいよ。……気持ちよくなって」
「……ぅ、んっ……はぁっ……も、だめっ……! あぁあっ……!!」
きゅっと首に腕を回し、耳元で囁くように彼女が続けた。
――……次の瞬間。
足を震わせ、ひくひくと声を殺して悦に耐える姿が腕の中にあった。
「あ……ん、もぉ……っ」
「気持ちよかったでしょ?」
「……いじわる……」
潤んだ瞳でこちらを見上げた彼女が、力なく呟いた。
そんな姿を見ながらも、ついつい笑みが漏れる。
「……じゃあ、もっと気持ちよくなろうか」
「ん……えっち……」
にっと笑ってから、ベッドのキャビネットに放ったままの財布を手にして袋の封を切り、彼女の表情と声によって十分に猛った自身にあてがい――……ゆっくり這入る。
「……っん」
熱く、十分過ぎるほどに潤っている彼女のナカは、いつも以上に心地よかった。
思わず途中で息をついてから、再びゆっくり沈めていく。
「くっ……」
動かないままでも、果ててしまいそうな快感。
そのまま彼女を抱きしめると、耳元で荒く息が漏れた。
「……祐恭さん……」
「ん……?」
「大好き……」
「……俺もだよ」
瞳を細めて彼女を見てから、ちゅ、と頬に口づけをして動き始める。
「あ……あぁんっ」
途端に、ぎゅっと締め付けられ、快感が生まれる。
たまらず顔を歪ませながらも、彼女の弱い部分を擦り上げるようにして責めるしかない。
「……うぁっ……っくぅんっ……!」
「はぁ……すごい、気持ちいい」
「そんな、しないでっ……ぇ、も……また……っ」
「羽織……っ」
「んんっ、あ、も……ふぁっ……祐恭さっ……!」
首に回された腕に力がこもると同時に、さらに彼女を強めに揺さぶってやる。
口から漏れる甘い言葉に聞き入っていると、途端に彼女が激しく締め上げてきた。
「っ! ……はぁ、んっ……! んんっ、あ、ああぁあっ……!!」
「ッ……!」
彼女が果てると同時にこちらも上り詰め、そのまま彼女に唇を重ねる。
甘い、口づけ。
……幸せの絶頂ってヤツだな。
などと考えていたら、自然に笑みが漏れた。
「なんか……もぅ……。どんな顔して写真撮ればいいんですか……?」
「ん? ……このままで十分かわいいけど?」
「っ……いじわるっ」
「正直に言ったまで」
ちゅ、と頬に口づけてから、自身を引き抜いて処理する。
……相変わらず、最高だな。
彼女のすべてが。
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