「―――真姫」
「ふぇ?」
人前でこんなことするつもりじゃなかったんだけどなぁ。
胸中苦笑しながら、瞳をうるませている愛しい彼女に口付けを落とした。
「は…ふぅ…」
酔っていてもほんのりと応えは返って来るわけで…。
とりあえず、純也くんも帰ったことだし、暴れそうになる前にこうして先手を打ったわけですが。
「……ま、真姫、ちゃん…」
と、親友とその彼氏のキスシーンを生で見られて、驚かない子はいないよなぁ…。
などとぼんやり考えていたら、真姫が腕の中で力が抜け始めた。とりあえず、これぐらいにへべれけにしてから、部屋に連れて行きますか。
「てことで、失礼します」
「…稔…」
呆れるような一言を俺に浴びせ掛ける雅都に、あはははー、と笑ってごまかす。
笑ってすますような問題じゃないだろう?という目からの問いかけに答えることなく、同じく呆然とこちらを見ている祐恭くんと羽織ちゃんに軽く会釈をした。
「びっくりさせてごめんな。じゃ、残り少しのクリスマスを楽しんで」
にっこり営業スマイルで笑って早々に退散。
純也くんが絵里ちゃんを連れて帰ってから、真姫は異常に甘えた。
うるませた瞳で出歩かれてみろ。彼氏である俺の神経がどうにかなってしまいそうになるほど、彼女はフェロモン出しまくりだ。
頬を真っ赤に火照らせた真姫を、とりあえずホテルの部屋まで連れて行くことに。
「―――ほら、水」
「……ぅん」
虚ろな瞳で、差し出されたコップを手に取ると、両手でこくこくと水を飲み干した。
酔い方からしてそこまで飲んでないと思うけれど、用心に越したことはない。少しずつ酔いを覚ましてやることにした。
「…大丈夫か?」
ホテルのベットの上。
真姫を座らせて、窮屈だったネクタイを放り投げた。
シャツのボタンを二つぐらいまで開けて、真姫の傍に腰を降ろしたら、真姫がじっとこちらを伺う。
「…どした?」
「みのる」
「うん」
「…みのるー」
きゅぅぅ。
嬉しそうに俺の名前を呼びながら、俺を抱きしめてくる彼女に素直に愛しいと感じながらも、その小さな体に腕を回した。
――――――素直に甘えてみたかった。
って言ったら怒る?
お酒の力があったら、いつもよりもっともっと稔に自分の気持ちを伝えられると思ったんだもん。
本当は、お酒の力がなくてもちゃんと自分の気持ちを伝えられるような子になりたい。
「…稔…」
ぎゅぅっと抱きしめる稔の体の温もりが愛しくて、もっともっと触れていたくて強く強く抱きしめた。
「真姫?」
「……すき」
見上げて見つめた彼の瞳が驚きの色に染まった。
一言だけついて出た自分の気持ちが、たった一言を伝えることによって堰を切って溢れ出してきた。
「すき、好きで好きでしょうがないってぐらい、すき」
「……」
「一人で眠っても、つまらないの。稔が傍にいて眠った方が何倍も幸せに眠れる。稔じゃなきゃ嫌だ。…稔じゃなきゃ…、えっちしたくない…」
「……」
「稔だけに、たくさんたくさん気持ちを伝えたいのに私、素直じゃないから…。だから、よく解らないけど、今度からはたくさんたくさんすき――――ぅん」
「黙って」
突然落とされたキスに呆然としてると、稔が有無を言わさずそう言った。
心なしか抱きしめる腕も強くなってる。
「…みのる…?」
「ほっぺ真っ赤にして言うことじゃねーな」
「…でも、でも…」
「知ってるよ。真姫の気持ちは、……ただ、プレゼント渡す前にこんなこと言われたら抱きしめるだけじゃすまないだろ?」
切なそうに顔を歪めた稔の顔は、既に私を欲しそうで。
それでも我慢してる様子が伺えて私もきゅぅ、と彼を抱きしめる。
「…ね、しよ?」
「……」
「稔、いっぱい我慢してくれたでしょう?…それに、私、欲しいもの。稔が」
抱きしめた腕の中でにっこり、彼に向かって微笑むと優しい唇が触れた。
ちぅ、と音を立てて離れた唇に寂しさを感じると稔が笑うようにベットに押し倒した。
「ホントにまぁ、可愛くなっちゃって…」
「…だめ?」
「毎晩抱いて眠りたくなるよ」
にっこり微笑んでキスを交わした。
求めるように彼の首の後ろに腕を回すと、にっこり笑いながら私の腰を浮かせた。背中のジッパーをキスしながら下ろして、気付けば全て脱がされていた。
「…綺麗な肌…」
「おこちゃまなだけだよ?」
「…おこちゃまなら、俺が年中欲情したりしないよ」
くすくす笑いながら私の体に唇を寄せる稔は、私と交わすえっちを楽しんでいるようだった。
唇一つ一つに与えられる快感に身を捩りながら「稔」と名前を呼ぶと紅い印を残していく。
「あ、ああっ」
「…ココが好きなんだ」
そう言って、胸の頂きに唇を寄せる。
硬くしこった頂きを指で弾きながら、もう一方では唇でしゃぶりながら淫らな音を響かせた。
「あああん…っ」
しばらく胸の愛撫で楽しんでいた稔は、焦らすようにゆっくりと円を描くように下腹部へ手を滑らせる。
ほんのり冷たい指先が熱く滾っている私の中に入れられてきたときは、びっくりした。
「はぁ…っぅん!!!」
ゆるゆると上下に動かしていた指の早さが加速をつける。
足を大きく開かせられて指を動かされて、楽しそうに笑みを向ける稔の体にしがみ付くしかできなかった。
「もう、いれて欲しい…?」
意地悪く口角を上げた稔の顔を見て、こっくり頷くと満足げに笑った稔自身がすぐに入ってきた。
口には開けっ放しの避妊具のビニール袋。いつの間に装着したのかわからないけど、稔の熱くて私が欲しいと叫ぶそれが中に入ってきた。
突き上げるように最奥まで届かせた稔は、快感に顔を歪めながら口元のビニール袋をベットの端に放った。
「う…、やべ、やっぱ気持ち良い…」
「みのる…?」
「……真姫、マゾ?」
「え?」
「…えっちなこと言うと、よく締まるんだよね…」
「え、ええええ?」
驚いて目を見開くと、そこにはいつものように意地悪な笑顔。
すごく嫌な予感がする。
「…真姫、乳首立ってるよ?」
「ひゃぅんっ」
「…すーっごい、えっちだな」
「え、え、ぁぁ…っくん」
「ほら、俺が我慢できないぐらいに締まってくる…!」
満足げに言い放つと、稔はすぐに腰を動かし始めた。
感じるポイントをすぐに突いてくる辺り、稔も稔で我慢してきたことが伺える。
「あ、あ、…っ」
「真姫、名前呼んで…」
「…みの、る…。みのるぅ…っ!!!」
「い、こ…だ」
「はぅぅんっ」
「あー…、駄目だ。良い」
加速をあげていく稔の腰に、何度も達しそうになりながら彼と一緒に同じとこに行くべく、我慢を繰り返していたが、それも限界とばかりに収縮をはじめていた。
「真姫…、ま、きぃ…っ!!!!」
「あ、ぁあああああんっ!!!!」
一際強く、抱く腕の力も、突き上げられた体も全て抱きしめたまま稔は果てた。
私は彼にしがみ付いたまま快感の海と、幸せの海を漂っていた。
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