「ま、って……待って、たーくん! こんな……っ」
「お前も頑固だな。ここまできたら、抵抗すんなよ」
「だってそんな……どうして? ねぇ、私……!」
ユキのときよりもよほど抵抗され、さすがに眉が寄る。
何が問題なんだ? お前。
両肩こそむきだしにはできたものの、葉月はパジャマの合わせを握りしめ、肝心の胸に触れようとした途端強く拒否を示した。
「ユキは許したのに俺はダメとか、おかしくね?」
「っ……たーく……」
「あんなよがってたクセに、なんで俺になった途端拒むんだよ」
舌打ちこそ出なかったものの、悪態は漏れた。
途端、葉月は目を丸くしただけでなく小さく喉が動く。
「たーくん……どうして? どうして……知ってるの……?」
「なんなら全部教えてやろうか? お前がどんなふうに喘いで、どうやってイカされたか。ついでに昨日と一昨日の下着の色もな」
「っ……!」
すぐここ。
鼻先のつく距離で笑うと、葉月は逆に眉尻を下げた。
泣きそう……ではない。
どちらかというと、信じられないものでも見るかのように、改めてまばたく。
「たーくん……だったの……?」
「…………」
「え、待って……待ってどういうこと? どうして……」
yesともnoとも答えず、肩をすくめるにとどめる。
そもそも、誰が信じるよ。
ンな話、きっと“俺”が聞いたら鼻で笑うレベル。
なのに葉月は、まじまじ見つめたまま俺の言ったことをそのまま信じようとするかのように口をつぐんだ。
「っ……」
「納得したならいいだろ?」
「ぁ……まっ、て……! ……どうして? どうして、たーくんっ……あんなこと……」
「しょうがねぇじゃん。えろいんだよ、お前」
「っ……もう、そんなふうに言われたことないよ?」
「誰も言わねぇだろ。それこそ、恭介さんは口が裂けても言わねーセリフだ」
組み敷いたまま首筋へ唇を寄せたところで、葉月が身体を押す。
あー……もうよくね? 別に。
お前、ホント頑固だな。
つーか、きっちり頭でも納得したいってとこが俺に似ていて、だからいろいろ教えてやりたかったのかとも思った。
「好きだから」
「っ……」
「お前がどんな反応するか見たかったし、したかった。……それならいいか?」
頬に触れると、がらにもなく目を見たままで言葉に出た。
さっきよりも驚いたように目を丸くするが、次の瞬間言いかけた言葉をつぐむかのように唇を噛む。
……その顔も悪くねぇな。
明かりはなくとも表情は見えてか、葉月も確かめるように俺の頬へ触れた。
「たーくん……」
「ユキと違って、きっちり最初から最後までシてやる。だから付き合え」
「っ……ん!」
言い終えると同時に唇を塞ぎ、舌を絡める。
歯列をなぞり、舌先を求める。
触れた瞬間ひくりと身体自体が反応を見せたが、そのままパジャマをさらに脱がせると、気づいてないわけじゃないだろうが抵抗はなかった。
「ん……んっ……」
角度を変え、改めて深く口づける。
そのまま胸に触れると、指先でなぞってすぐ声が変わる。
キスの反応もな。
……あー、やっぱこれがあってこそだろ。
これまでの夜は、単なる欲の果て。
一方向でしかなく、満足度は低い。
キスだけでも、全然違うもんなんだな。
直接反応が得られず、そして……“俺”とはいえ違う名前を呼ばれることも、どうやらおもしろくはなかったらしい。
わずかに唇を離すと、まるでそうしてほしくないかのように顎が上がり、口角は上がった。
「は……ぁ、あっ……」
円を描くように胸を揉み、先端を弄る。
布越しでなく直接触れると声が変わり、より耳についた。
……えろい。
手から溢れるほどの胸は、それこそ直接触れてみなければ知らなかったこと。
両手で寄せれば視覚的にだいぶヤバいレベルで、自身も反応する。
「んんっ……!」
谷間から先端を舐めると、背を逸らした。
声が変わり、きつくシーツを握る。
昨日までの、ただ舐めるだけとは違うってことは、コイツがきっと一番よくわかってる。
ぴんと上を向いた先を弄ると、動きにあわせて甘い声は漏れた。
「ぁあ、あっ……ふ、ぁ……たー、くっ……んんっ」
「……は……」
腰で止まっていたパジャマを下着ごとひき下ろすと、戸惑うように手が動いた。
ここで邪魔されてたまるかよ。
手首を握り、抵抗を減らすべく口づける。
胸から脇腹、そして腰のラインを辿るたび、ひくりと身体を震わせて。
むき出しの太ももを内側からなぞると、くぐもった声でしっかり反応した。
「ひぁ……あ……んんっ……ぁ」
茂みを割り、ソコを撫でる。
指で感じるのと、舌で感じるのとじゃ当然別モン。
ひだをなぞれば摩擦ゼロのおかげで、ぬるりと指が沈む。
「っん、ぁ、ぁあっ……ん……っ……そ、こ……」
「ここがいいんだろ?」
「は……たぁ、く……」
「あー……すっげぇ。熱い。ここ一番感じてンだろ」
ちゅぷり、と音を立てて中を探ると、うねるように胎内が指に絡む。
……これだな。
昨日までとは違うのは、俺にとってもコイツにとっても同じ。
ソコだけの刺激と、ナカとは別モン。
ナカを探りながら指の腹で花芽を撫でると、たちまち声が変わる。
「ふぁ、あっ……たーくん、そこっ……そこ、や……ぁ」
「嫌じゃなくてイイんだろ? ……こんなよがっといてよく言うぜ」
「あ、あっ……そっ……んんぁ、ああっ……!」
耳たぶを舐めてから笑うと、ふるふる首を振られて髪が当たった。
くすぐったさもあるが、昨日とはまるで違う体勢を取ることができるのは、やっぱヒトゆえ。
利点でもあり、当然のべきでもある。
あの姿じゃできないことは、ごまんとあるからな。
「昨日までより、よっぽど反応いいな……してほしかったンだろ、お前」
「っ……! ちがっ……私……」
「絶対って言えねぇだろ?」
「え……?」
「ユキに俺を重ねなかったって、言えるか?」
鼻先をつけて笑うと、言いかけた言葉を飲み込むように唇を噛んだ。
は……素直だな。
つか、正直意外だ。
そのテの話を友達としてるのもそうなら、縁遠そうなくせに想像するチカラあるとか……予想外すぎて、おもしろい。
『そういうのはいけないのよ』とか言って眉をひそめそうなのに、興味津々でそれなりに発達してるとはね。
女子がどの程度そのテの話を友達とするのかしらないが、まるきり正反対の見た目してるからこそ口ごもるのを見て興味はそそられる。
「なんでここがこんだけ濡れるか知ってるか?」
「……し、らな……ひゃ……あぁ、あっ……」
「気持ちいいだろ? こうしてもらうためだって、ちゃんと身体はわかってンだよ」
蜜をすくい、ぷっくりと反応するソコをゆるゆると刺激する。
肩に当てた手が反応を示すように動き、腕をつかむ。
……ああ、そっちのほうがよっぽどわかるな。
お前が今どんだけ気持ちいいのか、って。
刺激するたびに手が反応し、比例するように声も上がる。
「んんっ、んっ……は、あ……そこ……っあ、あぁあ、あっ……んん!」
「どうすればもっと気持ちよくなるか、お前自身がちゃんとわかってンだぞ」
指を増やせばより蜜の音が響き、卑猥な音は大きくなる。
それにしたがって葉月の声も一層甘くなり、おのずと口角は上がった。
|