いただきました!!
2021.04.17
ねこ♪さんへのお礼~
わたくし大好き、あんこモノでございます。
「珍しい」
「何が」
「え、だって自分でパン焼いてるんでしょ? 葉月に頼まず」
珍しいといえば、私だって少しは珍しい。
だって今日は、アラームが鳴る前に起きた。これって実はすごいことだと思うんだけど、おとといお兄ちゃんに言ったら鼻で笑われたから二度というものかと決めた。
きっと、祐恭さんなら多少は褒めてくれる。
うぅ。いいもん、多少だもん、それでも十分だもん。
高校生のころ、いつもより20分も早く起きたことが嬉しくて報告したら、まじまじ見つめられたあと『がんばったね』とどこかいたずらっぽく笑われたのは多少懐かしい。
言ったあとで「ひょっとして一般的には自慢できない部類なのか」と気づいたけれど、でも、だって嬉しかったんだもん。
「ていうか、何それ」
「こういうのくれる相手つったら、知れてるだろ」
「優くん?」
「あー、似てるけど違うな。つか、言ったら怒られそう」
トースターとにらめっこしてるお兄ちゃんは、肩をすくめるとすぐそこにあった何かのパッケージをこちらへ見せた。
パンの写真がついているもの。
でも、中にあるのは……。
「え、何これ」
「ようかん」
「ようかん?」
「そ。トースト用のようかん」
一瞬我が耳を疑ったけれど、どうやら聞き間違えではなかったらしい。
薄くスライスされている、ようかん。
食パンにジャストフィットなサイズで、中央にはバターを模した白いようかんも乗っている。
「おもしろいっていうよりは、ちゃんとしてる方向?」
「ネタじゃねぇな。テレビでもやってたらしいぜ」
「へえー。じゃあ優くんじゃないね」
テレビでも取り上げられているということは、人気があるんだろう。
でも、こんなのあるんだ。しかもようかん……ていうか、ちょっと待って。
「え、ようかんなのに焼いちゃうの?」
「それがいいんだろ。トースト用のなんだから」
「そうなの?」
「ひとうひとつ手作業でカットされてンだと」
「ええ! すごい!」
まさかの意見に目を丸くすると、なぜか満足げにお兄ちゃんが笑った。
え、別にお兄ちゃんがすごいわけじゃないのでは……でもそれ言ったらちょっと面倒なことになりそうだから、黙っておく。もちろん。
「りかこさんにいただいたの」
「え? そうなの?」
「うん。本当にいろんなところにアンテナを立ててる人ね」
どうやら花を生けていたらしく、戻ってきた葉月の手には少し大きめの花瓶があった。
まるでバラみたいに華やかな花びらの、チューリップ。
ピンクに白、オレンジと色とりどりで、ああ春っていいなぁと改めて感じる。
「買い物に行ったとき、たーくんが好きそうって思ってくれたみたい」
「へえー。りかこさんって、お兄ちゃんのこと甘やかしてない?」
「ふふ。何かを買うとき、おいしく食べてくれる人のことがつい思い浮かばない?」
「うーん……」
そう言われると……というか、言われなくても何かをするときはたいてい祐恭さんのことが浮かぶ。
嬉しそうな顔も、少しだけ驚いてくれた顔も。
ああ、そうか。食べてもらいたいって気持ちは、より強いものなのかな。
……それにしても。
「りかこさんって、マメだよね」
「そうね。フットワークもとても軽いし」
確かに。
おもしろい商品を見つけてすぐ送ってくれるところは、誰かのためにという気持ちが強い人なんだろうな。
ある意味、第2のお母さん的な。
って、お母さんなんて年じゃないから怒られちゃいそうだけど。
「あ」
トースターが音を立てると同時に、お兄ちゃんが中からトーストを取り出す。
こんがりといい色に焼けたトーストの上には、とろりとしたようかん。
端がふつふつしていて、ふんわりと甘い香りも漂う。
「っち」
「そりゃそうでしょ。焼き立てだもん」
いつもと違って文句が飛んでこなかったのは、食べてるからに違いない。
お皿もなしで食べ始めたのを見て、葉月は苦笑しながら小さめのお皿を取り出す。
「あー……すげぇな。うまい」
「へー」
「……」
「……」
「……」
「え、それだけ?」
食レポというほどのものは期待してなかったけれど、まさか続きが一切出てこないとは思わなかった。
ひとくち食べたいとは思うものの、さすがにお兄ちゃんのものをもらうわけには……あ。
「え?」
お願いの意味をこめてまじまじ葉月を見ると、ほどなくして小さく笑う。
どうやら私の意図を汲んでくれたようで、お兄ちゃんに向き直ると『ひとくちもらってもいい?』と聞こえた。
「……ん、ようかんだね」
「だろ」
「甘さ控えめだし、少しだけとろっとしてて……このバターのところ、不思議な感じ」
「かもな」
「でも、しっかりバターの香りがして、おいしいね」
さすが葉月。
お兄ちゃんとは違って、十分に伝わってくるようなコメント。
食べてはないけれど満足はしたので、思わず小さく拍手していた。
「もう1枚あるから、食うなら食ってもいいぞ」
「え、いいの?」
「つってもま、お前あんこ食わねぇだろ」
「む。食べていいなら食べるもん」
どこか馬鹿にされたように笑われ、思わず唇がとがる。
確かに、普段はジャムとバターでしかトーストは食べないけれど、りかこさんがくれた物なら絶対おいしいし、何よりそんなに人気なものなら食べてみたい。
「葉月、はんぶんこしない?」
「ん。いいよ」
そんなやり取りをいつものようにくすくす笑いながら見ていた葉月は、やっぱり穏やかに笑うと小さくうなずいてくれた。
というわけで、ねこさん~!
ありがとうございました!!
めちゃくちゃおいしかったし、もちっとした感じとか、あんこ特有の香りとか、ほんとにおいしかった!
いつも、そのお優しさと「これを久慈さんに」と思ってくださるお気持ちで、わたくし生きられております(*´▽`*)
ごちそうさまでした!!
わたくし大好き、あんこモノでございます。
「珍しい」
「何が」
「え、だって自分でパン焼いてるんでしょ? 葉月に頼まず」
珍しいといえば、私だって少しは珍しい。
だって今日は、アラームが鳴る前に起きた。これって実はすごいことだと思うんだけど、おとといお兄ちゃんに言ったら鼻で笑われたから二度というものかと決めた。
きっと、祐恭さんなら多少は褒めてくれる。
うぅ。いいもん、多少だもん、それでも十分だもん。
高校生のころ、いつもより20分も早く起きたことが嬉しくて報告したら、まじまじ見つめられたあと『がんばったね』とどこかいたずらっぽく笑われたのは多少懐かしい。
言ったあとで「ひょっとして一般的には自慢できない部類なのか」と気づいたけれど、でも、だって嬉しかったんだもん。
「ていうか、何それ」
「こういうのくれる相手つったら、知れてるだろ」
「優くん?」
「あー、似てるけど違うな。つか、言ったら怒られそう」
トースターとにらめっこしてるお兄ちゃんは、肩をすくめるとすぐそこにあった何かのパッケージをこちらへ見せた。
パンの写真がついているもの。
でも、中にあるのは……。
「え、何これ」
「ようかん」
「ようかん?」
「そ。トースト用のようかん」
一瞬我が耳を疑ったけれど、どうやら聞き間違えではなかったらしい。
薄くスライスされている、ようかん。
食パンにジャストフィットなサイズで、中央にはバターを模した白いようかんも乗っている。
「おもしろいっていうよりは、ちゃんとしてる方向?」
「ネタじゃねぇな。テレビでもやってたらしいぜ」
「へえー。じゃあ優くんじゃないね」
テレビでも取り上げられているということは、人気があるんだろう。
でも、こんなのあるんだ。しかもようかん……ていうか、ちょっと待って。
「え、ようかんなのに焼いちゃうの?」
「それがいいんだろ。トースト用のなんだから」
「そうなの?」
「ひとうひとつ手作業でカットされてンだと」
「ええ! すごい!」
まさかの意見に目を丸くすると、なぜか満足げにお兄ちゃんが笑った。
え、別にお兄ちゃんがすごいわけじゃないのでは……でもそれ言ったらちょっと面倒なことになりそうだから、黙っておく。もちろん。
「りかこさんにいただいたの」
「え? そうなの?」
「うん。本当にいろんなところにアンテナを立ててる人ね」
どうやら花を生けていたらしく、戻ってきた葉月の手には少し大きめの花瓶があった。
まるでバラみたいに華やかな花びらの、チューリップ。
ピンクに白、オレンジと色とりどりで、ああ春っていいなぁと改めて感じる。
「買い物に行ったとき、たーくんが好きそうって思ってくれたみたい」
「へえー。りかこさんって、お兄ちゃんのこと甘やかしてない?」
「ふふ。何かを買うとき、おいしく食べてくれる人のことがつい思い浮かばない?」
「うーん……」
そう言われると……というか、言われなくても何かをするときはたいてい祐恭さんのことが浮かぶ。
嬉しそうな顔も、少しだけ驚いてくれた顔も。
ああ、そうか。食べてもらいたいって気持ちは、より強いものなのかな。
……それにしても。
「りかこさんって、マメだよね」
「そうね。フットワークもとても軽いし」
確かに。
おもしろい商品を見つけてすぐ送ってくれるところは、誰かのためにという気持ちが強い人なんだろうな。
ある意味、第2のお母さん的な。
って、お母さんなんて年じゃないから怒られちゃいそうだけど。
「あ」
トースターが音を立てると同時に、お兄ちゃんが中からトーストを取り出す。
こんがりといい色に焼けたトーストの上には、とろりとしたようかん。
端がふつふつしていて、ふんわりと甘い香りも漂う。
「っち」
「そりゃそうでしょ。焼き立てだもん」
いつもと違って文句が飛んでこなかったのは、食べてるからに違いない。
お皿もなしで食べ始めたのを見て、葉月は苦笑しながら小さめのお皿を取り出す。
「あー……すげぇな。うまい」
「へー」
「……」
「……」
「……」
「え、それだけ?」
食レポというほどのものは期待してなかったけれど、まさか続きが一切出てこないとは思わなかった。
ひとくち食べたいとは思うものの、さすがにお兄ちゃんのものをもらうわけには……あ。
「え?」
お願いの意味をこめてまじまじ葉月を見ると、ほどなくして小さく笑う。
どうやら私の意図を汲んでくれたようで、お兄ちゃんに向き直ると『ひとくちもらってもいい?』と聞こえた。
「……ん、ようかんだね」
「だろ」
「甘さ控えめだし、少しだけとろっとしてて……このバターのところ、不思議な感じ」
「かもな」
「でも、しっかりバターの香りがして、おいしいね」
さすが葉月。
お兄ちゃんとは違って、十分に伝わってくるようなコメント。
食べてはないけれど満足はしたので、思わず小さく拍手していた。
「もう1枚あるから、食うなら食ってもいいぞ」
「え、いいの?」
「つってもま、お前あんこ食わねぇだろ」
「む。食べていいなら食べるもん」
どこか馬鹿にされたように笑われ、思わず唇がとがる。
確かに、普段はジャムとバターでしかトーストは食べないけれど、りかこさんがくれた物なら絶対おいしいし、何よりそんなに人気なものなら食べてみたい。
「葉月、はんぶんこしない?」
「ん。いいよ」
そんなやり取りをいつものようにくすくす笑いながら見ていた葉月は、やっぱり穏やかに笑うと小さくうなずいてくれた。
というわけで、ねこさん~!
ありがとうございました!!
めちゃくちゃおいしかったし、もちっとした感じとか、あんこ特有の香りとか、ほんとにおいしかった!
いつも、そのお優しさと「これを久慈さんに」と思ってくださるお気持ちで、わたくし生きられております(*´▽`*)
ごちそうさまでした!!