Strawberry Vanilla
2020.06.11
いつの間にでたんすか、スタバさんんん!!
今年もいちごの時期がきたのね。
すっごい嬉しいー!(*´∀`)
元気になるなるですね。まさに。
てなわけで、小話。
手にしている人が多いな、とは思ったの。
まさに、いちごそのものの色を纏う、ドリンク。
ホイップクリームと相まって、コントラストはさながらショートケーキのようだった。
おいしいだろうなぁ。
もしかしたら少し甘いかもしれないけれど……でも、あの量をひとりで飲み切るのはなかなか難しい。
ワンサイズ下のものがあればいいなと季節ごとに思うけれど、みんなにとってはちょうどいい量なのかな。
たーくんならきっと、POPにあるケーキも合わせて平らげるだろうけれど。
「…………」
買い物に来ると目に入ることが多い、ショッピングモールにあるコーヒーショップの看板。
この季節限定商品を宣伝していて、実際、歩いている人たちの何人かが手にしている。
前回の季節商品は、ホットも選べたからそちらは飲みきることができた。
あ……もしかして私、冷たい飲み物をたくさん飲むのが苦手なのかな。
今まで生きてきて感じなかったけれど、ひょっとしてと自分の苦手さの理由がひとつ見つかった気もした。
「っ……」
「待ったか?」
「ううん。私も、今戻ってきたの」
お店前のベンチへ腰かけたところで、頭の上にひんやりした何かを置かれた。
置かれた……というのは正確じゃないけれど。
見ると、たーくんはすぐそこのおすすめメニューと同じ、いちごたっぷりのドリンクを手にしていた。
私がここへ来る前に見ていたのは、隣にある靴屋さん。
暑くなってきたから、新しいサンダルを見てみたいなと思ったんだけれど、残念ながら今回はピンとくるものに出会えなかった。
その間、たーくんはコーヒー屋さんへ。
入って行ったときは人が並んでいたけれど、今は少し空いたように見える。
「……あっま」
「え? あ……いいの?」
「いや、飲むだろ? って毎回言ってねーか?」
「かもしれない」
ストローから唇を離すと、彼はそのまま私へ差し出した。
甘いものは好きだけど、飲み物はあまり甘さを好まない人。
季節物はチェックと称して飲むことが多いらしいけれど、普段は無糖のコーヒーを買う程度だとこの前言ってたっけ。
「……ん。いちごがたっぷり入ってるね」
「それはあるな」
ゼリーとは違う、ごろりとしたいちごそのものの感触に少しだけ驚いた。
それになんだか、しゅわしゅわする。
炭酸……じゃないだろうけれど、不思議な感じ。
今まで飲んだどの季節商品とも違っていて、素直においしいと思う。
「暑い時期にぴったりだね」
「だな。子どもとか好きそう」
かなり甘めのドリンクだけど、この食感も相まってそこまでではないように思う。
おいしい。
館内はエアコンが効いているけれど、よく歩いたせいか冷たさが心地よかった。
「果物好きにしたら、どうなんだ? こーゆーの。生とは違うだろ?」
「でも、おいしいよ? なんていうか……デザートみたいな感じだね」
「あー、なるほど」
ホイップクリームも乗っているし、十分豪華なドリンクに部類するだろう、これ。
ひとりでは飲めない量だけれど……というか、そういえば毎回たーくんにシェアしてもらってる気がするんだけど、いいのかな。
結果として、ねだる形になっているような気もする。
「たーくん、いつもありがとう」
「どうした急に」
「だって、このお店の季節メニュー、私毎回こんなふうにひとくちもらってる気がして」
立ち上がって隣に並ぶと、たーくんは私からエコバッグを取り上げた。
かと思えば、まじまじ見つめてから『真面目だなお前』と笑う。
真面目……じゃない気がするけれど、どうして?
急なセリフに、こちらこそどうしたんだろうと首をかしげると、肩をすくめた。
「いや、むしろ逆だろ。俺もこの量飲めねぇし」
「え? ……そうなの?」
意外なセリフとともに再度ストローを差し出され、唇を開く。
彼は普段、かなりの量のご飯でも平らげてくれるし、まず、食べ物を残すところを見たことがない。
だからてっきり、この量も問題ないんじゃないかと思っていたから、意外でしかなかった。
「どれも微妙に甘いっつーか……あれだな。お前が今言った、デザートそのものって表現がしっくりくる」
「そうかな?」
「だろ。これひとりで飲んだら、最後の最後でギブアップ」
甘すぎる。
普段、これ以上に甘いデザートを口にする人なのに、意外な言葉に目が丸くなる。
確かに、糖分だからお腹いっぱいになるだろうけれど、たーくんでさえそうなら……私が飲めないのは当たり前なのかな。
ストローを離すと、最後の最後をよく混ぜたあとで彼も口づけた。
「だから、俺もお前と一緒ンときしか飲まねーぞ」
「っ……」
「サンキュ」
目を合わせたまま笑われ、どきりとした。
私だけじゃなかったことも嬉しいけれど、そんなふうに“限定“の言葉をもらったら、特別な気持ちになるじゃない。
……もう。
本当に、ふとした瞬間に気持ちすべてを惹きつける人なんだから。
「ンだよ」
「ふふ。嬉しい」
「なんで」
「だって、同じこと思ったんだもん」
感謝してもらえるなんて思わなかった。
特別なやりとりそのものができて、改めて彼に許されている自分を大切に思うことができる。
これでまた『ありがとう』って言ったら、きっとたーくんは眉を寄せるだろうな。
すぐそこに停められている光沢のある黒い車だけでなく、運転席側へ向かった彼の後ろ姿を見ながら、改めて笑みが浮かんだ。
今年もいちごの時期がきたのね。
すっごい嬉しいー!(*´∀`)
元気になるなるですね。まさに。
てなわけで、小話。
手にしている人が多いな、とは思ったの。
まさに、いちごそのものの色を纏う、ドリンク。
ホイップクリームと相まって、コントラストはさながらショートケーキのようだった。
おいしいだろうなぁ。
もしかしたら少し甘いかもしれないけれど……でも、あの量をひとりで飲み切るのはなかなか難しい。
ワンサイズ下のものがあればいいなと季節ごとに思うけれど、みんなにとってはちょうどいい量なのかな。
たーくんならきっと、POPにあるケーキも合わせて平らげるだろうけれど。
「…………」
買い物に来ると目に入ることが多い、ショッピングモールにあるコーヒーショップの看板。
この季節限定商品を宣伝していて、実際、歩いている人たちの何人かが手にしている。
前回の季節商品は、ホットも選べたからそちらは飲みきることができた。
あ……もしかして私、冷たい飲み物をたくさん飲むのが苦手なのかな。
今まで生きてきて感じなかったけれど、ひょっとしてと自分の苦手さの理由がひとつ見つかった気もした。
「っ……」
「待ったか?」
「ううん。私も、今戻ってきたの」
お店前のベンチへ腰かけたところで、頭の上にひんやりした何かを置かれた。
置かれた……というのは正確じゃないけれど。
見ると、たーくんはすぐそこのおすすめメニューと同じ、いちごたっぷりのドリンクを手にしていた。
私がここへ来る前に見ていたのは、隣にある靴屋さん。
暑くなってきたから、新しいサンダルを見てみたいなと思ったんだけれど、残念ながら今回はピンとくるものに出会えなかった。
その間、たーくんはコーヒー屋さんへ。
入って行ったときは人が並んでいたけれど、今は少し空いたように見える。
「……あっま」
「え? あ……いいの?」
「いや、飲むだろ? って毎回言ってねーか?」
「かもしれない」
ストローから唇を離すと、彼はそのまま私へ差し出した。
甘いものは好きだけど、飲み物はあまり甘さを好まない人。
季節物はチェックと称して飲むことが多いらしいけれど、普段は無糖のコーヒーを買う程度だとこの前言ってたっけ。
「……ん。いちごがたっぷり入ってるね」
「それはあるな」
ゼリーとは違う、ごろりとしたいちごそのものの感触に少しだけ驚いた。
それになんだか、しゅわしゅわする。
炭酸……じゃないだろうけれど、不思議な感じ。
今まで飲んだどの季節商品とも違っていて、素直においしいと思う。
「暑い時期にぴったりだね」
「だな。子どもとか好きそう」
かなり甘めのドリンクだけど、この食感も相まってそこまでではないように思う。
おいしい。
館内はエアコンが効いているけれど、よく歩いたせいか冷たさが心地よかった。
「果物好きにしたら、どうなんだ? こーゆーの。生とは違うだろ?」
「でも、おいしいよ? なんていうか……デザートみたいな感じだね」
「あー、なるほど」
ホイップクリームも乗っているし、十分豪華なドリンクに部類するだろう、これ。
ひとりでは飲めない量だけれど……というか、そういえば毎回たーくんにシェアしてもらってる気がするんだけど、いいのかな。
結果として、ねだる形になっているような気もする。
「たーくん、いつもありがとう」
「どうした急に」
「だって、このお店の季節メニュー、私毎回こんなふうにひとくちもらってる気がして」
立ち上がって隣に並ぶと、たーくんは私からエコバッグを取り上げた。
かと思えば、まじまじ見つめてから『真面目だなお前』と笑う。
真面目……じゃない気がするけれど、どうして?
急なセリフに、こちらこそどうしたんだろうと首をかしげると、肩をすくめた。
「いや、むしろ逆だろ。俺もこの量飲めねぇし」
「え? ……そうなの?」
意外なセリフとともに再度ストローを差し出され、唇を開く。
彼は普段、かなりの量のご飯でも平らげてくれるし、まず、食べ物を残すところを見たことがない。
だからてっきり、この量も問題ないんじゃないかと思っていたから、意外でしかなかった。
「どれも微妙に甘いっつーか……あれだな。お前が今言った、デザートそのものって表現がしっくりくる」
「そうかな?」
「だろ。これひとりで飲んだら、最後の最後でギブアップ」
甘すぎる。
普段、これ以上に甘いデザートを口にする人なのに、意外な言葉に目が丸くなる。
確かに、糖分だからお腹いっぱいになるだろうけれど、たーくんでさえそうなら……私が飲めないのは当たり前なのかな。
ストローを離すと、最後の最後をよく混ぜたあとで彼も口づけた。
「だから、俺もお前と一緒ンときしか飲まねーぞ」
「っ……」
「サンキュ」
目を合わせたまま笑われ、どきりとした。
私だけじゃなかったことも嬉しいけれど、そんなふうに“限定“の言葉をもらったら、特別な気持ちになるじゃない。
……もう。
本当に、ふとした瞬間に気持ちすべてを惹きつける人なんだから。
「ンだよ」
「ふふ。嬉しい」
「なんで」
「だって、同じこと思ったんだもん」
感謝してもらえるなんて思わなかった。
特別なやりとりそのものができて、改めて彼に許されている自分を大切に思うことができる。
これでまた『ありがとう』って言ったら、きっとたーくんは眉を寄せるだろうな。
すぐそこに停められている光沢のある黒い車だけでなく、運転席側へ向かった彼の後ろ姿を見ながら、改めて笑みが浮かんだ。